バックオフィス業務を効率化する具体策5選｜課題や改善手順・成功のポイントを徹底解説
「バックオフィス業務のムダを減らして生産性を上げたい」
「ツール導入や自動化を検討しているが、どこから始めればいいかわからない」
このように考えている担当者の方も多いでしょう。
バックオフィスは企業の基盤を支える重要な部門ですが、アナログな作業や属人化が残りやすく、課題を抱えがちです。
本記事では、バックオフィスが抱える主な課題から、効率化を進める具体的な手順、役立つ5つの方法、そして成功させるためのポイントまで詳しく解説します。
自社に合ったバックオフィス業務効率化の施策を見つけるなら「伴走ナビ」にご相談ください。
目次
バックオフィスとは？
バックオフィスとは、顧客と直接やり取りを行わない部門を指します。企業運営を支える役割を持ち、経理、人事、総務、法務、情報システムなどが中心です。
一方で、営業やマーケティングのように顧客と接点を持ち、売上に直結する部門を「フロントオフィス」と呼びます。
バックオフィスは利益を直接生み出す部門ではありません。しかし、業務の安定や継続には不可欠な存在です。例えば、経理が請求処理をしなければ売上は入金されませんし、人事が採用や労務管理をしなければ組織は成り立ちません。
業務の正確性や法令の遵守、社員のサポートといった、企業基盤を維持する重要な機能を持っています。
バックオフィスが抱える主な課題
バックオフィス業務には、企業を悩ませる特有の課題が存在します。
- 業務の属人化とブラックボックス化
- 人手不足とスキルの偏り
- 書類・承認フローのアナログ運用
- 社内問い合わせ対応の負担
主な4つの課題を確認しておきましょう。
業務の属人化とブラックボックス化
バックオフィス業務は専門性が高いため、特定の担当者しか業務内容や進め方を把握していない「属人化」が起こりやすいです。業務が属人化すると、その担当者が急に休職したり退職したりした際に、業務が止まってしまいます。
また、業務マニュアルが整備されていなかったり、更新が追いつかなかったりするケースも少なくありません。これにより、業務のノウハウが組織内で共有されず、引き継ぎも困難になります。
業務プロセスが当事者以外からは見えない「ブラックボックス化」が進むと、どこにムダがあるのか、どうすれば改善できるのかがわかりません。結果として、改善のサイクルが止まり、組織全体の生産性が低下する原因となります。
人手不足とスキルの偏り
多くの企業で人手不足が課題となる中、バックオフィス部門も例外ではありません。経理や法務など、専門知識が必要な業務が多いため、そもそも人材の確保が難しい場合があります。
さらに、フロントオフィスに比べて採用予算が限られることもあり、少ない人数で多くの業務を兼任せざるを得ない状況も発生します。業務負荷が特定の社員に集中してしまいます。
忙しさから、新しい人材を採用しても教育や引き継ぎの時間が十分に確保できず、スキルが一部のベテラン社員に偏ってしまいます。このような状態が続くと、バックオフィスの業務遅延が、営業活動などフロント部門の業務にまで影響を及ぼすケースも出てきます。
書類・承認フローのアナログ運用
バックオフィス業務では、いまだに紙の帳票や押印の文化が根強く残っている場合があります。例えば、申請書を紙で回覧し、複数の承認者の押印を集める作業です。このようなアナログな運用は、承認までに多くの時間と手間がかかります。
紙の書類は、保管するスペースが必要です。また、過去の書類を探したり、情報を更新したりする作業も大変です。情報共有もスムーズにいきません。
ペーパーレス化が進まないと、在宅勤務やリモートワークといった柔軟な働き方への対応も難しくなります。こうしたアナログ運用は、企業全体のDX（デジタルトランスフォーメーション）を停滞させる大きな要因の一つです。
社内問い合わせ対応の負担
人事、総務、情報システムといったバックオフィスの部門には、社内のさまざまな部署から問い合わせが集中します。「経費精算の方法を教えてほしい」「パソコンの調子が悪い」といった内容です。
これらの問い合わせ窓口が一本化されていなかったり、よくある質問をまとめたFAQやマニュアルが整備されていなかったりすると、同じような質問が何度も繰り返されます。
担当者が問い合わせ対応に追われることで、本来やるべき中心的な業務が圧迫され、残業や疲弊を招く原因となります。問い合わせ対応を自動化するチャットボットなどを活用し、いかに担当者の負担を減らすかが課題です。
バックオフィスの効率化を進める流れ【3STEP】
バックオフィスの業務改善は、やみくもに始めてもうまくいきません。正しい手順を踏む必要があります。ここでは、効率化を進めるための基本的な3つのステップを紹介します。
- 業務の棚卸しと可視化
- 課題分析と解決策の検討
- 改善施策の実行と効果のモニタリング
この流れに沿って、自社の状況を整理しましょう。
1.業務の棚卸しと可視化
最初に行うべきは、現状の把握です。バックオフィスで発生している現在の業務をすべてリストアップし、各業務の「担当者」「かかっている工数（時間）」「発生頻度」を明らかにします。これを「業務の棚卸し」と呼びます。
この作業により、どの業務が誰に集中しているのか（属人化）、どの業務に時間がかかっているのか（ムダなフロー）が明確になります。
業務の流れをフローチャート（業務の流れを図式化したもの）にしてみるのもよい方法です。業務全体の流れを見える形にすると、どこがボトルネック（停滞の原因）になっているかを特定しやすくなります。この段階で、業務マニュアルの作成も同時に進めるとよいでしょう。
2.課題分析と解決策の検討
業務の可視化ができたら、次に課題を分析し、解決策を考えます。ボトルネックやムダな作業に対して、「なぜそうなっているのか」「どうすればなくせるか」を深掘りしましょう。
例えば、「承認に時間がかかる」という課題があれば、「紙で運用しているため」「承認者が不在がちのため」といった原因を探ります。その上で、ペーパーレス化、自動化、あるいは業務自体を外部に委託（アウトソーシング）するなど、課題に合った解決策を選びます。
このとき、経営層だけで決めずに、実際に業務を行っている現場担当者の声を反映させることが重要です。現場の意見を取り入れることで、実用的で本当に役立つ改善計画を立てられます。業務ごとに、かかるコストと得られる結果を予測し、導入の優先順位を決定しましょう。
3.改善施策の実行と効果のモニタリング
解決策と優先順位が決まったら、いよいよ改善施策を実行に移しましょう。「いつまでに」「誰が」実行するのか、導入時期や担当者を明確にしてスタートします。
重要なのは、施策を実行して終わりにしないことです。新しいツールやフローを導入した後は、それが現場に定着するように、教育やサポート体制を並行して実施します。
また、定期的に「本当に業務が楽になったか」「時間はどれくらい短縮されたか」を検証しましょう。例えば、「作業工数の削減時間」「担当者の満足度」「コストの削減率」といった具体的な指標（KPI）を決めて評価します。計画通りに進んでいなければ、その原因を探り、やり方を見直してください。
バックオフィスを効率化する具体的な5つの方法
業務の課題や流れが整理できたら、具体的な解決策を導入します。
- RPA（ロボティック・プロセス・オートメーション）の活用
- ワークフロー・電子契約・帳簿・請求システムの導入
- チャットツール・社内チャットボットの利用
- アウトソーシング（外部委託）の活用
- BPaaS（業務プロセス・アズ・ア・サービス）の導入
ここでは、バックオフィス業務の改善に役立つ5つの方法を紹介します。
RPA（ロボティック・プロセス・オートメーション）の活用
RPAとは「ロボティック・プロセス・オートメーション」の略で、パソコンで行う定型業務をロボットで自動化する技術です。バックオフィスには、データ入力、経費精算、勤怠処理など、毎日繰り返される定型業務が多くあります。
RPAを活用すると、これらの作業をロボットが代行します。人間が行うよりも速く、ミスなく作業を進められるため、ヒューマンエラー（人為的なミス）を防ぐことにもつながります。
ロボットは24時間365日稼働できるため、業務スピードが大幅に上がります。結果として、人件費の削減にもつながります。RPA導入によって業務の属人化が解消されたり、担当者の負担が減って離職率が下がったりといった副次的なメリットも報告されています。導入する際は、現場が扱いやすいツールを選び、サポート体制を重視することが成功の鍵です。
ワークフロー・電子契約・帳簿・請求システムの導入
稟議や承認作業をオンライン化する「ワークフローシステム」の導入も有効です。紙やハンコでのやり取りをやめ、システム上で申請から承認まで行うことで、意思決定のスピードが格段に上がります。
あわせて、電子帳簿、電子請求、電子契約といったシステムを活用し、ペーパーレス化を進め、紙の書類を電子データで管理しましょう。紙の印刷代、郵送費、保管スペースといった固定コストの削減につながります。
また、データで管理するため、セキュリティの向上やコンプライアンス（法令遵守）の強化にも役立ちます。近年では、電子帳簿保存法などの改正も進み、業務を電子データで運用するための法的な環境も整備されているため、確認しておきましょう。
チャットツール・社内チャットボットの利用
社内のコミュニケーションを見直すことも重要です。メールでのやり取りは、挨拶文が必要であったり、確認に時間がかかったりします。ビジネスチャットツールを導入すると、メールよりも即時性のあるコミュニケーションが実現します。
また、バックオフィス部門の負担となっている「社内からの問い合わせ対応」を自動化する「社内チャットボット」の利用もおすすめです。
チャットボットとは、対話型の自動応答プログラムを指します。人事や総務によく寄せられる質問と回答をあらかじめ登録しておけば、社員がチャットボットに質問すると自動で回答してくれます。
AI（人工知能）を搭載したチャットボットの導入により、問い合わせ対応の時間を大幅に削減できます。社員が自分で問題を解決できるため、全社的な生産性向上にもつながります。
アウトソーシング（外部委託）の活用
自社で対応しきれない業務を、外部の専門企業に委託する「アウトソーシング」も選択肢の一つです。特に経理、労務、総務などの定型的な業務は、アウトソーシングしやすい分野です。
専門ノウハウを持つ外部のリソースを活用できるため、自社で行うよりも業務の品質とスピードの両立が期待できます。社員はアウトソーシングした業務から解放され、より重要度の高い「コア業務」に集中できる環境を構築できるでしょう。
人手不足やコスト増加への対応策としても有効です。例えば、給与計算や社会保険の手続きなどを委託します。業務が特定の時期に集中するのを防ぎ、業務品質を安定させられます。月5万円から10万円程度で導入可能なサービスもあり、費用対効果が高いケースもあります。
BPaaS（業務プロセス・アズ・ア・サービス）の導入
BPaaS（ビーパース）とは、「ビジネス・プロセス・アズ・ア・サービス」の略です。クラウド上で、業務プロセスそのものを包括的に提供する仕組みを指します。
アウトソーシングと似ていますが、BPaaSはシステム（SaaS）の提供と業務代行が一体となっている点が特徴です。自社で個別にシステムを構築する必要がなく、勤怠管理、給与計算、請求、契約といった複数のバックオフィス業務を、サービス提供者が一括で運用します。
BPaaSを導入すると、業務の標準化が進み、スピードアップと運用コストの削減が実現します。リモートワークや柔軟な働き方への対応も容易です。企業のDX推進を加速させ、事業成長や外部環境の変化に強いバックオフィス体制を構築できるでしょう。
バックオフィス効率化を成功させる3つのポイント
さまざまなツールやサービスを紹介しましたが、これらを導入するだけでは成功しません。
- ツール導入よりも「業務の見直し」から始める
- 現場の声を反映して改善サイクルを回す
- IT人材がいなくても運用できる仕組みを作る
ここでは、バックオフィスの業務改善を成功させるために押さえておきたい3つのポイントを解説します。
ツール導入よりも「業務の見直し」から始める
業務改善を考えたとき、すぐに新しいツールを導入しようとしがちですが、ツール導入は目的ではなく、あくまで課題解決の「手段」です。
まずは「業務の棚卸しと可視化」を行い、現在の業務フローに潜むムダや重複を洗い出すことから始めてください。現状分析をしないまま新しいツールを導入しても、ムダな業務をそのまま新しいシステムに乗せ替えるだけになってしまいます。最悪の場合、かえって業務が複雑になり、現場の混乱を招くリスクがあります。
特に、属人化している業務や手作業の多い業務を優先的な改善対象に設定しましょう。業務フローそのものを見直し、マニュアルを整備することと、ツール導入を同時進行で進めることで、導入したツールが本当に役立つものになります。
現場の声を反映して改善サイクルを回す
改善策は、経営層や管理職だけで決める「トップダウン」で進めてはいけません。実際にその業務を担当している現場の意見を重視することが重要です。現場の担当者は、日々の業務の中で「ここがやりにくい」「もっとこうなればいいのに」という具体的な課題を把握しています。
導入後も、現場の負担を減らすことを第一に考えましょう。例えば、繁忙期を避けて導入スケジュールを組むといった配慮が必要です。
そして、導入したら終わりではありません。定期的にモニタリングを行い、運用の定着率や削減効果を可視化します。現場からフィードバックをもらい、小さな成功体験を積み重ねていくことが、全社的な改善文化を育てることにつながります。PDCAサイクル（計画・実行・評価・改善）を確立し、継続的な見直しを目指してください。
IT人材がいなくても運用できる仕組みを作る
「ITに詳しい人材がいないからDXが進まない」という悩みもよく聞きます。バックオフィスの業務改善を成功させるには、「誰でも扱える」仕組みを作ることが最大の条件です。
プログラミング知識が不要な「ノーコード」や、最小限の知識で開発できる「ローコード」のツールを選ぶことをおすすめします。これらのツールを使えば、エンジニアでない非IT部門の社員でも、現場のニーズに合った仕組みを自ら構築・運用できます。
ツールを選ぶ際は、導入後のサポート体制やトレーニングが充実しているかも重視してください。また、操作画面がわかりやすく、直感的に使える（UIがシンプルな）ツールを選ぶことで、現場の抵抗感を減らせるでしょう。
バックオフィスの効率化にkintoneをおすすめする理由
バックオフィス業務を改善するツールとして「kintone（キントーン）」をおすすめします。kintoneは、プログラミングの知識がなくても、自社の業務に合わせたアプリを誰でも作成できるノーコードツールです。
総務、人事、経理などのバックオフィス業務は多岐にわたりますが、kintoneを使えばそれらの業務をすぐにデジタル化できます。
例えば、紙や表計算ソフトで行っていた申請業務をkintone上で動かし、ワークフローをペーパーレス化できます。稟議や申請業務がスムーズに進みます。
また、バラバラに管理されがちな社員情報を一元管理し、人材配置やスキル管理に役立てることも可能です。備品管理、イベント管理、福利厚生の利用状況など、あらゆる情報を「見える化」し、バックオフィス業務のムダを削減しましょう。
バックオフィスの効率化にお悩みなら「伴走ナビ」へご相談ください！
バックオフィス業務の効率化は、属人化やアナログ運用によるムダを減らし、生産性を高めるために欠かせません。
業務の棚卸しによる可視化、課題分析、改善策の実行という手順を踏むことで、RPAやワークフローシステム、チャットボット、アウトソーシング、BPaaSなどの効果が最大化されます。一方で、ツール導入だけに頼らず、現場の声を踏まえた改善サイクルの構築も重要です。
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