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請求書を自動で作れるシステムの選び方と導入手順:ミスと手間を減らすための現実的なコツ

毎月の請求書づくり、数字を入れてPDFにして送って、控えを保存して……この一連の作業が地味に重いですよね。しかも怖いのは、忙しい月ほどミスが増えること。送付漏れや金額違いが起きると、信用にも関わります。

そこで役に立つのが、請求書を自動で作成できる仕組みです。ただ、ツールを入れただけで全部がラクになるわけではありません。自社の流れに合う形を選び、運用を整えると、はじめて効果が出ます。ここでは、リテラシーが高くない方でも迷わないように、できること・選び方・導入手順・法対応の考え方まで、やさしく整理します。

手作業の請求書がつらくなる理由と自動化の効果

請求書業務が大変になる原因は、作成そのものより「前後の作業がつながっていないこと」です。売上データは別の表、承認は口頭、送付はメール、保存は個人フォルダ……となると、確認と探し物が増え、結局”できる人”に集中します。まずは、ミスが出やすい所から機械に任せるだけで十分効果が出ます。

手作業で起きがちなミスと時間を食う場面

よくあるミスは「入力し間違えた」だけではありません。例えば、取引先ごとに締め日や振込先の書き方が違い、テンプレをコピペした時に前の情報が残る。税率が混ざる月だけ計算が怪しくなる。請求番号の付け方がバラバラで、後から探せない。こういう“気づきにくいズレ”が積み重なるのが一番やっかいです。

さらに、版管理も事故ポイントです。修正依頼が来て差し替えたのに、古いPDFを送ってしまう。二重請求や請求漏れに気づくのが遅れ、取引先から連絡が来て初めて発覚する。こうなると、謝罪や確認のやり取りに時間が取られ、気持ちも削られます。

時間が取られるのは「作る」より「確認」と「探す」です。承認をもらうために印刷して持ち回る、メールの宛先や添付を何度も確認する、送った後に「控えどこ?」と聞かれてフォルダを掘る。担当者が休むと手順がわからず止まる……これが属人化です。

ミスが怖いほどチェック項目が増え、ダブルチェックや確認連絡が増えて、さらに時間が溶けます。だからこそ、ミスが起きにくい流れに変えるのがいちばん効きます。

自動化の第一歩は、派手なDXではなく、こうした詰まりを減らして“誰がやっても同じ品質”にすること。ここが整うと、作業時間も問い合わせも減り、月末のバタバタがかなり軽くなります。

どこまで自動にする?境界線の決め方

自動作成といっても段階があります。まず自動化しやすいのは、定型の繰り返しです。取引先・品目・単価・税率がある程度決まっていれば、データを選ぶだけで請求書が出せます。定期請求も得意分野です。

一方で、人の判断が残る所もあります。イレギュラーな値引き、契約条件が変わった月の調整、取引先の要望(紙がいい、メール件名を固定して等)などです。ここは「完全自動」にこだわるより、判断が必要なものだけ承認フローに乗せる方が現実的です。

また、作成だけでなく、送付と保存まで含めて考えると事故が減ります。インボイス制度では、一定の事項が記載された請求書等の保存が仕入税額控除の要件になる点も押さえておくと安心です。

「正しく作って、正しく残す」までをゴールにすると、ツール選びの軸がブレにくくなります。

請求書を自動で作る仕組みでできること

選ぶ前に、まず「自社の請求がどんな流れで動いているか」をざっくり描きましょう。作成担当だけでなく、営業・現場・承認者・経理がどこで関わるかがポイントです。流れに合わないツールを入れると、使われずに手作業が残ります。

見積もりや受注データから請求書へ連動する流れ

部門が分かれているほど、転記が増えてミスが出やすくなります。営業が見積もりを作り、受注したら現場が動き、最後に事務が請求書を作る。ここで毎回、品目や金額を打ち直すと、ミスの確率が上がります

うまくいく形は、見積もりや受注のデータをそのまま請求書に反映できることです。例えば、月末に「今月請求する案件」を選ぶだけで請求書が生成される。これだけでコピペや再入力が減り、確認の手間も小さくなります。

承認も同じです。紙や口頭だと「誰がOKした?」が追えません。システム上で承認履歴が残るようにすると、確認の往復が減ります。金額が大きい請求や値引きが入る請求だけ承認必須にする、というルールも作りやすいです。

送付面では「いつ・誰に・何を送ったか」が追えることが重要です。送付履歴が残れば、送付漏れの確認が一瞬で終わりますし、取引先からの問い合わせにも落ち着いて対応できます。

さらに、締め日が近い案件を自動で一覧に出したり、送付前に「未承認の請求が残っています」と知らせたりできると、月末の抜け漏れが減ります。結果として、作成担当の“気配り依存”が減り、誰がやっても同じ流れで回せるようになります。

定期請求や複数税率など実務パターンと保存の考え方

現場で多いのは、毎月同じ金額の請求、途中で追加作業が入る請求、分割請求、軽減税率が混ざる月の請求などです。こうしたパターンに対応できるかは、導入後のストレスに直結します。取引先ごとの締め日や支払条件を持てると、締め処理がぐっと軽くなります。税率ごとの集計や端数処理のルールも、仕様として確認しておくと安心です。

さらに、電子データでやり取りした請求書(メール添付PDFやダウンロードデータなど)は、電子帳簿保存法の「電子取引」に関わる考え方が出てきます。国税庁は、電子取引データの保存義務や保存方法を案内しています。

「保存場所はどこ」「どう検索する」「税務調査で求められたら出せるか」まで、運用として決めておくと、後から慌てません。財務省の解説では、税務職員からのダウンロードの求めに応じられる場合に、一定の検索要件が不要になるケースがあることも示されています。

合うタイプを3つに分けて選ぶ

選び方は意外とシンプルです。「主に誰が使うか」と「請求の前後までつなげたいか」で、向くタイプが変わります。作る人が毎日触るなら、操作がわかりやすいことが最優先。逆に、経理だけで完結するなら会計連携重視が向きます。

請求書ソフト中心:まずは作成をラクにしたい

「とにかく今すぐ請求書作成をラクにしたい」「難しい設定は不安」という場合は、請求書専用のクラウドサービスが入り口としてわかりやすいです。テンプレに沿って入力すれば形になるので、操作に迷いにくいのがメリットです。取引先や品目を登録しておけば、次回からは選ぶだけで作れるようになります。

このタイプは、画面が見やすく、サポートが整っているものを選ぶと安心です。担当者が変わっても引き継ぎやすく、権限設定で「作成はできるけど編集はできない」などのルールも作れます。メール送付のテンプレや、控えの自動保存が付いていると、送付漏れ対策にもなります。

外出が多い職場なら「スマホで確認できるか」も意外と重要です。承認者が移動中でも見られるだけで、締めが早くなることがあります。

ただし、元データが別管理だと転記が残りやすい点には注意です。売上の元データが営業の表にあり、現場の実績が別にある場合、請求書ソフトは”最後の帳票化”は得意でも、前段の情報集めまでは面倒を見きれないことがあります。

おすすめは、最初は“よく出す請求”だけ自動化して効果を体感し、転記が残ってつらい所が見えたら次の段階を検討すること。段階的に育てる方が、現場が混乱しにくく定着しやすいです。

会計連携中心:経理の入力と月次を軽くしたい

経理の負担を減らしたいなら、会計ソフトとの連携は強力です。請求書を発行した時点で売掛金が立ち、入金消込までつながるようにすると、月次の締めがかなり楽になります。未回収の把握もスムーズになり、「あの取引先、入金まだだっけ?」の確認が減ります。

仕訳の二重入力が減るのも大きいです。請求書側で作ったデータが会計に連携されれば、経理は確認と例外対応に集中できます。部門別やプロジェクト別に管理したい会社でも、連携の粒度が合えば集計が一気にラクになります。

一方で、会計寄りに寄せすぎると、現場が入力できずに結局経理が代理入力することもあります。現場は案件名や納品日などの情報を持っているのに、会計画面では扱いにくい場合があるからです。入力が面倒だと情報が遅れ、結局請求が遅れることもあります。

監査や税務調査の場面でも「履歴が追える」「権限で操作を制限できる」設計は安心材料になります。小さな会社ほど、ここが効きます。

だから、会計連携を選ぶなら「現場がどこまで入力するか」「どの情報を会計に渡すか」を先に決めるのがコツです。作成・承認・保存の運用まで含めて設計できると、便利さがちゃんと成果に変わります。

業務アプリ連携:現場データから一気通貫にしたい

「現場の報告や案件管理から請求までつなげたい」「例外処理や承認も含めて整えたい」場合は、kintoneのような業務アプリ連携が向きます。案件・作業実績・請求対象・承認履歴を一か所で管理し、必要なデータだけを使って請求書を生成する形にできます。例外が多い会社ほど、画面項目や承認ルートを自社向けに調整できるメリットが出ます。

また、今後はデジタルインボイスという流れもあります。デジタル庁は、Peppolをベースにした日本のデジタルインボイス標準仕様(JP PINT)の管理等を行っていると説明しています。

だからこそ、請求データを社内で整えておくと、次の変化にも対応しやすくなります。いきなり全部を作り込む必要はありません。「現場データは業務アプリ」「帳票出力は既存ツール」など、段階的に一気通貫へ近づけられるのがこのタイプの強みです。

導入の進め方:現場が混乱しないスモールスタート手順

請求書の自動化は、いきなり全部を切り替えるほど失敗しやすくなります。おすすめは、範囲を絞って小さく始めること。回しながら改善するやり方です。特にリテラシーが高くない環境では、一度つまずくと使われなくなることがあるので、最初の設計がとても大事です。

導入前の棚卸し:請求パターンと例外を先に出す

最初にやるべきことは、難しい要件定義ではなく「いつもやっていることを言葉にする」作業です。具体的には、次の3点をメモに書き出します。

1. 締め日や支払条件が取引先ごとに違うのか
2. 請求単位は案件ごとなのか月まとめなのか
3. 例外は何が起きるのか

ここが曖昧だと、設定も運用も決まりません。

この棚卸しは、長時間の会議にする必要はありません。作成担当、営業、経理の3人が集まって、30分〜1時間で「普段のやり方」を出し合うだけでも十分です。特に“例外”は、現場が一番よく知っています。値引きが発生する条件、追加作業が入るタイミング、請求を止めるケースなどを先に出すと、導入後の手戻りが減ります。

棚卸しの結果は、A4一枚に「請求パターン」「例外」「承認が必要な条件」をまとめておくと、ツール比較の軸になります。

次に、対象範囲を絞ります。例えば「毎月固定の契約請求だけ」「上位10社だけ」など。範囲が狭いほど関係者が少なく、改善が早いです。ここで効果が出ると「便利だね」が社内で共有され、横展開が進みやすくなります。

例外が多い場合は、完全自動化よりも、例外だけ承認に回す設計が現実的です。例外は悪ではなく、商売が現実に合わせて動いている証拠。例外を見える化できれば、むしろミスが減ります。

テンプレとデータ整備:最初にここだけは揃える

つまずきやすいのは、テンプレの見た目より「元データが揃っていないこと」です。取引先名の表記ゆれ、住所の古さ、振込先の記載が担当者の記憶頼み、品目名がバラバラ……この状態で自動化すると、出力が安定しません。

最初の段階で揃えるなら、項目を絞るのがコツです。

1. 取引先の正式名称と住所
2. 支払条件
3. 振込先情報
4. よく使う品目と単価
5. 請求番号ルール

この5つが整うだけでも、作成の手戻りが減ります。

あわせて「保存のルール」を決めましょう。インボイス制度の記載事項や、電子取引データの保存の考え方は、制度として国税庁が案内しています。

保存場所、ファイル名、検索方法を先に決めると、導入後の混乱が激減します。最初は少し面倒でも、ここをやるからこそ後がラクです。

伴走ナビなら、kintone活用で”請求の前後”までつなげやすい

ツール導入が失敗する典型は「入れたけど使いこなせない」です。原因は、業務の現実に合わせた設計になっていないことが多いです。伴走ナビは、kintone活用を軸に、現場の入力から請求書作成までをつなげる設計を、事例をもとに一緒に組み立てます。丸投げではなく、社内に改善のやり方を残しながら進めるので、あとから自分たちで育てやすいのが特徴です。

kintoneで請求情報を集め、ミスが出にくい流れを作る

kintoneが強いのは、現場が持っている情報を集めやすいことです。営業が案件情報を登録し、現場が作業実績を入力し、経理が請求対象を確認して承認し、最後に請求書を出す。この流れを同じ場所で回せると、転記や確認が減ります。

よくある形は、請求対象の一覧を作り、月末に「今月請求する案件」をチェックして請求データを生成するやり方です。値引きや追加作業などの例外がある案件は、自動で承認ルートに回し、承認されたものだけが出力対象になるようにすると安心です。

また、通知やリマインドも地味に効きます。「締め日が近いので入力してください」「承認待ちが残っています」などを自動で促せると、催促の手間が減り、漏れも防げます。履歴が残るので、後からの説明もしやすくなります。

入力画面を現場向けにシンプルにできるのも強みです。「この項目だけ入れればOK」にできると、入力の心理的ハードルが下がり、結果として請求データの品質が上がります。

さらに、既存の会計ソフトや請求書ソフトとつなぐこともできます。いきなり全部を置き換えず、段階的に整えられるので、現場の負担を抑えながら“前後までつながる状態”に近づけます。将来のデジタルインボイスの流れを見据えても、社内データを整える価値は大きいです。

無料相談と資料請求で、まずは自社に合う形を整理する

「何を選べばいいかわからない」「うちの請求パターンが特殊かも」と感じたら、まずは状況整理から始めるのが一番早いです。伴走ナビでは、現場の流れを聞きながら、どこまで自動化するのが現実的か、どのタイプが合うかを一緒に整理できます。

自社で検討を進めたい時は、社内共有できる材料があると話が早いです。逆に、関係者が多くてまとまらない時は、第三者が入って整理するとスムーズになることもあります。

最初の一歩としては、次のどちらかがおすすめです。

・自社の状況を話しながら方向性を決めたい:無料相談
・社内で比較検討する材料を集めたい:資料請求

「請求書の作成がつらい」を、次の月から少しでも軽くするために。まずは、今の流れを言葉にして、合う形を一緒に探しましょう。

まとめ|請求書の自動化は「機能」より「運用」で決まる

請求書を自動で作成できる仕組みは、作成時間の短縮だけでなく、ミス削減・属人化の解消・送付漏れ防止に効きます。成功のコツは、月額料金や機能の多さよりも、作成・承認・送付・保存が一本につながる運用を作ること。インボイス制度や電子取引データの保存の考え方も、制度として押さえておくと安心です。

迷ったら、伴走ナビの無料相談で状況を整理するか、資料請求で検討材料を集めてみてください。次の月から“月末のしんどさ”を減らす第一歩になります。

伴走ナビ管理人
サイボウズパートナーのペパコミ株式会社で年間100社以上のkintone構築と伴走サポートの案件に携わり、kintoneだけでなくプラグイン設定も数多く経験。システム機能だけではなく、社内業務コンサルとしての目線で中小企業のDX化を推進しています。
       

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