kintoneと外部サービスの連携で失敗しないために必要な3つのポイント
クラウドシステムを連携して利用することが多くなってきました。kintoneも例にもれず連携をして利用したいと考えている人が増えています。
同時に様々なシステムで「kintoneと連携できる」といった広告を目にすることも増え、同時に問合せからの相談でも「○○システムと連携できると聞きました」といった内容の話はよく聞きます。
ただこの「連携」といった言葉で表現する事柄はとても幅広く、どのような内容の連携なのかをしっかりと確認しないと便利になるはずのシステムが、逆に複雑化してしまいます。
そのようなことにならないよう、kintoneと連携するときに確認するべきポイントを3つに絞ってお伝えします。
目次
【ポイント1】連携方法を確認する
システムの仕組みとしてはkintonと連携できても、その連携作業には難易度があります。連携するためのシステムもあり、kintone連携して利用したいと思っているシステムはどのような方法で連携するのかを確認しましょう。
プラグイン
kintoneを軸にしたときに、プラグインによる連携が一番簡単です。プラグイン設定時に連携先のシステムへログインできるようになっているため「連携して利用している」とすら思わずに、ひとつのシステムとして利用している感覚で使うことができます。
【例】マネーフォワードクラウド請求書
kintoneに「認証アプリ」を作成し「認証用プラグイン」を取り込んで、その中にマネーフォワードクラウド請求書側で作成・発行したキーを入力することで連携できます。
連携設定としてはこのほかに「顧客マスタ」「品目マスタ」「見積書」「請求書」と、見積・請求書を発行するにあたり必要な情報がありますが、すべてプラグインの中で項目をマッピングする形です。
利用する際には、kintone側で「認証アプリ」を開くことで接続されます。
【例】カスタマーコンパス(地図表示)
kintoneの中に入力されている住所を地図上で表示できるシステム「カスタマーコンパス」ですが、こちらもプラグインの「ライセンス」項目に所定の情報を入力するだけで連携ができます。
カスタマーコンパス連携の便利なところは「Google API Key」を取得してライセンスと一緒に情報を用意されるので、入力するだけで良いのです。システムに詳しい人は「Google API Key」を取得することは簡単だと思うのですが、様々な企業さまのサポートをしてきた経験からいうと、「Google API Key」を取得する作業が簡単ではないと感じる人の方が圧倒的に多くおられます。
そのため、kintoneのプラグインに入力するだけで連携できるのは便利と感じることでしょう。
外部システム側の設定
連携するシステム側に連携設定用の画面を用意している場合です。
このようなシステムと連携する場合には、kintone側の操作ではなく、外部システム側に確認をしてマニュアルをもらう必要があります。
【例】kincone(勤怠管理システム)
こちらの画面は「勤怠が承認されたとき」のタイミングでkintoneに情報が入る設定をしている画面になります。勤怠管理では労働基準に基づいて所定労働時間・時間外労働時間などを管理しなければいけませんが、この後の給料の計算に利用する際に承認された勤怠情報がkintoneに連携されることのメリットがあります。
kinconeでは他に「打刻」をリアルタイムで連携することができます。
スマホで打刻した情報をリアルタイムでkintoneで確認できるので、kintoneで仕事をしている人事管理かわざわざ勤怠管理システムにログインすることなく、従業員の出退勤情報を見れるので便利です。
【例】HubSpot(MA・SFA・CRMツール)
HubSpotはマーケティングから顧客管理までに特化したシステムで、連携設定もわかりやすく作られています。一方通行ではなく相互連携も可能で、顧客マスタだけでなく、活動履歴などのアプリの連携も同時に設定することが可能です。
集客の起点から契約まで、どのようなアクションによって、何をキーに契約に至ったのかなどマーケティング視点で分析したいときに、さらに顧客満足度につなげるための施策や管理を行うときに便利です。
契約になった後はkintoneに連携し管理を行うことで、その後の売上や原価管理をkintoneで行う仕組みを作ることができるので、連携の効果は大きいと考えられます。
コネクタ
kintone・外部システムをつなぐコネクタとして別途契約が必要となるツールがあります。専用のコネクタと他にもiPassと言われる様々なシステムを連携してフローを設計できるものもあります。
【例】配配メール(メールマーケティング)
配配メールコネクタ(20,000円/月)を使って配配メールとkintoneのそれぞれの情報を入力し、項目をマッピングします。連携項目は柔軟性が高く、kintoneで利用したい項目を配配メールにも作成することができ、それをコネクタで選択するだけという簡単な連携方法となっています。
配配メールで配信するために、例えば「業種」「地域」「ステータス」などkintoneで管理したい項目をそのままの情報を配配メールに連携させることで、グループとしての配信設定が可能になります。
【例】Yoom
データベース型iPaaSのYoomは色々なシステムを連携して、データ入力や書類作成などを自動化できます。フローボットという流れの設定を行うのですが、テンプレートもたくさん用意されていて何をしたいかによってそのフローボットを選択し、ひとつずつの動きを設定していきます。
画像は「kintoneにレコードが登録されたらDropboxにフォルダを作成」となっていて、最初の「レコードが登録されたら」の部分ではkintoneアカウントにログインする情報を入力し、次には「対象のレコードを特定するためのアプリ情報」を設定することになります。
kintoneと同じようにノーコードで直観的に操作ができるのが良いのですが、命令を設定するためにはある程度の知識が必要になるので覚えれば簡単ですが、誰にでもできるというほど簡単ではないです。
開発
cybozu developer networkでは開発用の情報が公開されています。そのため連携プログラミングの技術があり、連携したい外部システムのAPI情報も取得できる場合には開発をして連携することもできます。
ただ、kintoneは自分たちで改修・拡張できるのがメリットですが、開発をした場合にはその連携に関わるアプリを気軽に改修するとエラーの原因になりますので、開発をする際はkintoneのことも理解していて、さらにその後のサポートも同時に行える会社を選んで依頼する必要があります。
または、まだkintoneの使い方が定まっていない状態での開発はやめておきましょう。
【ポイント2】業務フローの設計をきちんと行う
システム連携といっても、業務の中の何の情報をどのように紐づけるのか業務フローの設計を行い、社内で担当となる人が役割を理解する必要があります。とくにkintoneと外部システムでそれぞれの目的とどこの業務をどのシステムで行うかは明確にしておく必要があります。
具体的な例がある方が説明がしやすいので、今回は「kintoneとマネーフォワードクラウド請求書連携(以下MF請求書)」を図にして説明します。
まず「顧客マスタ」はkitoneにもMF請求書にも存在します。連携はできますが、登録はkintone→MF請求書への一方通行のため、MF請求書で顧客登録をしてもkintoneに登録はできなくて、もしその後に「手作業でkintoneに登録をしてMF請求書へ登録」を行うと、MF請求書側には同じ顧客データが2つできあがります。
つまり「顧客登録は必ずkintoneで行う」というルールが必要となります。
また、MF請求書を直接開いて見積書・請求書を作成することも可能です。しかしkintoneにその情報は反映されないので、kintoneで管理する際に作成記録のない見積書・請求書が存在することになります。
このように連携する場合には「どのタイミング」「どのシステム」といった業務フローに沿ったルールを決めて設計・構築を行ことが大切です。
運用のルール(役割と入力者)
先のMF請求書連携を例にすると、今までは営業担当者がExcelで見積書を作成し、紙又はPDFにして顧客に提出し、決定した見積書を経理が確認して請求書を発行といった流れで行っていた業務に対し、kintoneとMF請求書を連携したことで、見積書の発行はMF請求書で行うことになります。
その際に、営業担当者からするとExcelのみで完結していた作業がMF請求書に画面を移して発行業務を行うことになります。さらに決定した見積書はkintone上のレコードに「決定」といったチェックをつけて経理が請求書発行するなどわかるようにしないと、経理からするとどの見積書から請求書を発行してよいのかわからなくなります。
せっかくkintoneにして、外出先からでも作業できるようにしたのに、見積書を発行するために会社に戻りパソコンからログインしないといけない、など無駄な作業をなくすためには経理が見積書を発行しよう!といった考え方もありますが、経理側としてその作業が可能かどうか工数として検討する必要があります。
このように、誰が何をするのか、入力・発行者は誰なのか、などの運用面でルールを作り、新しい流れに対して社内で協力し慣れていく気持ちで取り組まないといけません。
【ポイント3】正しい情報はどこかを決める
システムを連携する際に気をつけないといけない大事なことのひとつに「正しい情報」の場所を決めなければいけません。
先の例でも「kintoneの顧客マスタ」と「MF請求書の顧客マスタ」と両方にマスタが存在し、連携方向は「kintone→MF請求書」と一方通行で、MF請求書に顧客が登録されると「顧客ID」が採番されてkintoneの顧客マスタにその情報が戻って登録される仕組みとなっています。
その「顧客ID」をキーにして、今後発行される見積・請求書がMF請求書上で紐づいて管理されることになるので、MF請求書側に同じ顧客が2つ以上存在すると、その紐づけができなくなります。
連携を行った際の見積・請求書発行の正しい流れは以下の通りです
①kintoneで顧客登録をする
②MF請求書に連携登録
③MF請求書で「顧客ID」が採番されてKintoneの顧客マスタに情報が登録される
④Kintoneで見積・請求書を作成する際にルックアップで「顧客ID」も持ってくる
⑤kintoneで作成した見積・請求書をMF請求書に連携し、発行
結構ありがちな話としては「案件にはなっていないからkintoneで顧客登録をしていない会社に対して見積書を発行しなければいけない」といったことがあります。
そういった場合には会社としてのルールが必要で、とりあえずMF請求書で直接発行し、案件になったら本来の流れで再度見積書を登録する。又は取り急ぎkintoneで顧客登録をしてMF請求書で発行する。案件管理を挟まないフローとしてルールを作っておく。などなど・・・。
今回はMF請求書を例にしましたが、MF請求書だけでも他にも注意しなければいけない運用ルールはたくさん出てきます。
どんなシステムと連携をする場合でも、前もって「不具合が出るからひとつずつ解決方法を考えていこう」といった前向きな姿勢で取り組んでいることが必要で、もし何も言わずに「連携して楽になるから」など良さそうに見える面だけで連携を決めると業務を行う現場の人からの協力が得られなくなってしまうこともあるので、気を付けてください。
外部システム連携で失敗しないためのまとめ
難しくなるようなことを書いてしまいましたが、知っていれば何も問題ありません。逆に言うと知らないことが問題を引き起こします。
私はたくさんの中小企業へのkintone導入の現場で「運用の問題」を見てきました。考えれば当たり前のことですが、会社にはたくさんの人がそれぞれの役割を遂行するために働いています。それぞれの立場での効率化は必ずしも全体として、誰もが効率的になるとは限りません。
そして、システムを導入すれば翌日からあっという間に成果がでるわけでもありません。システムはデジタル化されたデータの処理や分析は自動で行い、結果を表示してくれますが、デジタル化するまでの業務フローは意外と複雑で人だからこそ処理できていたこともたくさんあります。
必要なのは、目的と段階を意識することです。安易に「システム化すればいい」「連携すれば手間が減る」と決めてしまわずに、目的を関係者に共有し、段階を踏んで慣れていくことが大切です。
システム連携は関係する業務も多くなるので、社内でコミュニケーションするのには良い機会になると思いますので、めんどくさがらずにしっかりと向き合って進めてください!
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