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【完全ガイド】業務効率化ツールを自作してコスト削減&生産性アップする方法と事例

市販の業務効率化ツールは多機能で導入も手軽ですが、「もっと自社の業務にピッタリ合わせたい」「不要な機能にコストを払いたくない」という企業にとっては、必ずしもベストな選択肢とは限りません。そんな中、近年注目されているのが業務効率化ツールの自作です。
自作と聞くと「難しそう」「エンジニアがいないと無理」と感じるかもしれませんが、ノーコード・ローコードの普及により、専門知識がなくても実現できるケースが増えています。

本記事では、自作ツールのメリットや注意点、市販ツールとの違い、開発の流れ、そして成功事例までを詳しく解説します。最後まで読むことで、自社に最適なツール導入の方向性が見えるはずです。

業務効率化ツールを自作するメリットとデメリット

業務効率化ツールを自作する最大の魅力は、「自社の業務フローに完全フィットする形で作れる」という点です。一方で、開発や保守に関するリソース確保、セキュリティ面での責任負担など、市販ツールにはない課題も存在します。
ここでは、自作のメリットとデメリットをバランス良く整理し、導入判断の参考になる情報を提供します。

自社業務に完全フィットするカスタマイズ性

自作ツールの最大の利点は、自社の業務内容やフローに合わせて細かく設計できることです。市販ツールは汎用性を重視しているため、「この機能は不要だけど消せない」「欲しい機能が追加できない」といった制約が少なくありません。

例えば、営業管理ツールを自作するのであれば、自社の提案書フォーマットや独自の見積計算式を組み込み、現場の使いやすさを優先した設計が可能です。また、業務の変更や改善に合わせて機能を柔軟に追加・修正できるため、長期的に見て効率化効果が持続しやすいという特徴もあります。
特に中小企業やスタートアップでは、変化のスピードに合わせて迅速にシステムを更新できることが大きな競争力になります。

開発費用を大幅に抑えられる自作のメリット

外部のシステム開発会社に業務効率化ツールをゼロから依頼すると、要件定義・設計・開発・テストまで含めて数百万円単位の費用になることが珍しくありません。
例えば、営業管理システムや請求管理システムをスクラッチ開発(完全オーダーメイド)で作る場合、300万〜500万円程度の見積もりになることもあります。

一方、ノーコードやローコードツールを活用して自作すれば、必要なのはツールのライセンス費用(1ユーザーあたり月額1,500円前後〜)と、開発にかかる時間や最小限の外部支援費用だけです。仮に社外の伴走支援を利用したとしても、初期費用を数十万円〜100万円未満に抑えられるケースが多く、外注フル開発と比べると大幅なコスト削減が可能です。つまり、自作ツールは「完全オーダーメイド並みの業務適合性」を保ちながら、「市販ツールや外注開発よりも低コストで導入できる」というのが大きな魅力があるのです。

自作ならではの運用・保守面の課題とリスク

一方で、自作ツールには市販ツールにはないリスクも伴います。
まず、システム障害やバグが発生した際に、自社または委託先で対応する必要があります。市販ツールであればベンダーがサポートしてくれますが、自作の場合は社内の知識や人員が不足すると復旧が遅れる可能性があります。
また、セキュリティ面の責任もすべて自社にあり、データ漏えいや不正アクセス防止のための対策を怠ると重大なリスクに直結します。さらに、開発を担当していた社員が退職すると、引き継ぎ不足から運用が困難になるケースもあります。

これらの課題を回避するには、設計段階から運用・保守の体制を明確にし、外部パートナーとの契約やドキュメント整備を徹底することが重要です。

自作と市販ツールの違いを比較【費用・機能・導入スピード】

業務効率化ツールを導入する際、「自作」と「市販ツール」では、コスト構造・機能面の自由度・導入までのスピードに違いがあります。どちらが優れているかではなく、自社の課題やリソース状況に合わせて選ぶことが重要です。
ここでは、それぞれの特徴を比較し、判断の材料となるポイントを整理します。

初期費用と運用コストの特徴

市販ツール(特にクラウド型)は、初期費用を抑えつつすぐに利用を開始できるのが強みです。月額課金が中心ですが、その分開発・保守・セキュリティ対応などをベンダーが担ってくれるため、追加コストや社内負担を軽減できます。

一方、自作ツールは初期開発に一定の費用や時間がかかるものの、運用開始後は自社で機能追加や改修を行えるため、長期的な運用コストを抑えやすい傾向があります。
例えば、外部開発委託で300万円のシステムを作った場合と、市販ツールを月額3万円で5年間利用した場合では、総額はほぼ同程度になることもあります。

重要なのは、初期投資と運用コストのバランスを試算し、自社に合う形を選ぶことです。

機能面の自由度と対応力

自作ツールの魅力は、業務フローや独自ルールに合わせて細かく設計できる自由度です。
例えば製造業で工程管理を細分化し現場に合わせたアラートを設定したり、既存システムとAPI連携して二重入力をなくすなど、業務に特化したカスタマイズが可能です。画面や操作性も現場の習慣に合わせられるため、定着もスムーズになります。

一方、市販ツールは幅広い業種に対応できる基本機能が揃い、近年はプラグインや外部連携も充実。以前は自作でしか実現できなかった機能も短期間で構築できるようになっています。自作は「自由度」、市販ツールは「即戦力」と捉えると、目的や導入スピードに応じた選択がしやすくなります。

導入スピードと検証のしやすさ

市販ツールは、アカウント作成後すぐに利用を開始できるため、短期間で効果を試したい場合に最適です。無料トライアルやデモ環境を活用すれば、操作感や機能の適合度を事前に確認でき、導入判断までのスピードも速くなります。
例えば、新しい顧客管理システムを検討する際、2〜3日で実際の顧客データを試験的に登録し、現場の反応を見ながら比較することが可能です。

一方、自作ツールは要件定義から設計・開発・テストといった工程を経るため、完成までに数週間から数カ月かかります。しかし、その分「完成=自社専用」という高いフィット感が得られ、長期的には業務効率化効果が持続しやすくなります。短期的に改善効果を得たいなら市販ツール、長期的な最適化を見据えるなら自作、という住み分けが効果的です。

業務効率化ツールを自作するための準備と必要スキル

業務効率化ツールを自作するには、思いつきや場当たり的な開発ではなく、しっかりとした準備が欠かせません。必要なスキルや体制を事前に整えておくことで、開発中のトラブルや仕様変更のリスクを大幅に減らせます。
ここでは、準備段階で押さえるべきポイントと、自作に必要なスキル・リソースについて具体的に解説します。

要件定義と現状の業務分析の重要性

自作ツールの成功は、要件定義の精度で大きく左右されます。
要件定義とは、「何のためにツールを作るのか」「どの業務を効率化するのか」を明確にする作業です。この段階で現状の業務フローを徹底的に洗い出し、無駄や重複を可視化します。

例えば、営業活動の効率化を目的とする場合、見積作成・顧客管理・フォローアップの流れを時系列で整理し、どの部分を自動化すれば最も効果が高いかを特定します。要件定義が曖昧なままだと、完成後に「現場で使いにくい」「必要な機能が足りない」といった問題が発生し、再開発や追加費用の原因になります。現場担当者の意見を早い段階で取り入れることが、精度の高い要件定義につながります。

プログラミング・ノーコード活用の選択肢

自作ツールの開発方法は、大きく分けてプログラミングによるフルスクラッチ開発と、ノーコード・ローコードツールの活用に分かれます。フルスクラッチ開発は自由度が高く、複雑な仕様にも対応できますが、エンジニアのスキルや時間が必要です。

一方、ノーコードツール(例:kintone、Airtable、Glideなど)は、プログラミング知識がなくてもGUIで画面や機能を構築でき、比較的短期間で導入可能です。例えば、kintoneであればドラッグ&ドロップでアプリを作成し、必要に応じてプラグインやJavaScriptで機能を拡張できます。選択のポイントは、必要な機能の複雑さと社内にある技術リソースのバランスです。
初めて自作に挑戦する場合は、まずノーコードでプロトタイプを作り、その後必要に応じて開発を拡張するのがおすすめです。

社内リソース確保と開発体制づくり

自作ツールは作って終わりではなく、運用・改善を継続する体制が必要です。
そのためには、開発期間中だけでなく運用開始後も対応できる社内リソースを確保しなければなりません。例えば、開発担当者を1人に任せきりにせず、業務担当者・IT担当者・経営層が関わるチーム体制を組むと、要件のズレや仕様変更のリスクを減らせます。
また、外部パートナーと協力する場合は、契約時に保守サポートや引き継ぎ方法を明確化しておくことが重要です。ツールの運用担当者が退職した場合でも引き継ぎがスムーズにできるよう、ドキュメントやマニュアルの整備も忘れずに行いましょう。

自作ツール開発のステップと注意点

業務効率化ツールを自作する際は、順序立てて進めることで開発期間を短縮し、完成度の高いツールに仕上げられます。ここでは、設計から運用開始までの主なステップと、それぞれの段階で注意すべきポイントを解説します。

設計からプロトタイプ作成までの流れ

まずは要件定義をもとに設計書を作成します。
設計書には画面構成、入力項目、データベースの構造、操作フローなどを記載し、関係者全員で内容を確認します。次に、設計書をもとにプロトタイプ(試作版)を作成し、早い段階で実際の操作感を検証します。

例えば、顧客管理ツールなら、実際の顧客データを使って登録・検索・更新を試し、改善点を洗い出します。プロトタイプ段階で問題点を見つければ、本開発に入る前に修正できるため、手戻りを減らせます。このフェーズでは「完璧を目指しすぎない」ことが重要で、まずは最小限の機能で運用を開始し、後から機能を追加していく形が効率的です。

テスト運用とユーザーフィードバック

プロトタイプ完成後は、限定的な範囲でテスト運用を行います。
テスト運用では、実際に業務を行う担当者に使ってもらい、操作性や機能の不足、不具合の有無を確認します。この段階で重要なのは、開発者目線だけでなく、利用者目線での改善要望を反映させることです。

例えば、「入力画面の並び順が作業フローに合っていない」「検索結果の並び替えができない」など、現場ならではの意見が出てきます。こうした改善点を迅速に反映させることで、現場に定着しやすいツールに仕上げられます。テスト期間を短くしすぎると、潜在的な問題を見逃す恐れがあるため、最低でも数週間はテスト運用を行うのが望ましいでしょう。

長期運用を見据えた保守・改善体制

ツールをリリースした後も、業務内容や外部環境の変化に合わせて改善を続ける必要があります。

例えば、法改正や取引先の要望によって新しい項目が必要になることがあります。
こうした変更に迅速に対応できるよう、開発・運用の両方を理解している担当者を確保しておくことが重要です。また、定期的なバックアップやセキュリティアップデートも欠かせません。特にクラウド型ツールでは外部アクセスがあるため、脆弱性対策を怠ると重大なリスクになります。長期運用を前提に、改善計画や予算もあらかじめ組み込んでおくことが、ツールを長く活用する秘訣です。

自作ツールの成功事例と伴走ナビの活用方法

実際に業務効率化ツールを自作して成果を上げた事例を知ることで、自社の取り組みに具体的なイメージが湧きます。また、内製化やノーコード開発のサポートを行う伴走ナビの活用方法についても紹介します。

kintone活用で請求業務を自動化した事例

ある中小企業では、毎月の請求書作成に1人あたり20時間以上を費やしており、担当者の負担が大きな課題でした。そこで、kintoneをベースに請求管理アプリを自作。顧客マスタと取引データを組み合わせ、必要項目を自動で請求書に反映する仕組みを構築しました。
これにより、請求書作成はクリック数回で完了し、業務時間は約70%削減。空いた時間を新規顧客のフォローや営業資料の改善に充てられるようになりました。
また、この企業は既にkintoneを契約していたため、追加コストはほぼゼロ。要件定義から運用開始まで1カ月以内で導入でき、スピード感のある業務改善が実現しました。

ノーコードで営業管理を一元化した中小企業の事例

別の企業では、営業活動の記録がエクセルや紙、メールなどバラバラに管理され、案件の進捗状況を把握するのに数時間かかる状態でした。そこで、ノーコードツールを活用し、営業案件管理アプリを自作。顧客情報、案件ステータス、見積データを一元管理できるようにし、チーム全員がリアルタイムでアクセスできる環境を整備しました。

結果として、案件の抜け漏れや二重対応が減り、受注率も向上。
さらに、営業会議の準備時間が短縮され、データ分析や提案内容のブラッシュアップに時間を割けるようになりました。現場からは「情報探しのストレスが減った」と高く評価され、導入後わずか数週間で成果が見え始めました。

伴走ナビによる内製化支援と継続改善のメリット

伴走ナビは、企業が業務効率化ツールを自作し、長期的に活用できるようにする内製化支援を提供しています。特にkintoneを活用した改善事例が豊富で、要件定義から設計、開発、運用改善まで一貫して伴走。単にツールを作るだけでなく、社内メンバーが自分たちで機能追加や改善ができるよう教育も行います。
これにより、保守や改修を外部に依存せず、自社のスピードで改善を進められる体制が構築可能です。初めて自作に挑戦する企業でも、外部支援を受けながら安心して開発を進められ、導入後も継続的な改善が実現します。

こうした「伴走型支援」により、短期的な業務改善と長期的な成長の両立が可能になります。

まとめ|最適な業務効率化ツール選びと継続改善のポイント

業務効率化ツールの自作は、コストの最適化と自社業務への高い適合性という大きなメリットを持ちながら、開発や保守体制の確保、セキュリティ対策などのリスクも伴います。成功のカギは、現状業務の分析や要件定義を丁寧に行い、運用開始後も改善を続けられる仕組みを整えることです。

ノーコードやローコードツールの活用、さらに伴走型支援サービスを組み合わせれば、専門知識がなくても短期間で成果を出せる可能性が広がります。市販ツールと自作のどちらが自社に合うのかを冷静に比較し、初期投資・運用コスト・機能面のバランスを考慮して選択しましょう。

小さく試し、改善を重ねることで、自社にとって本当に役立つ業務効率化が実現できます。

伴走ナビ管理人
サイボウズパートナーのペパコミ株式会社で年間100社以上のkintone構築と伴走サポートの案件に携わり、kintoneだけでなくプラグイン設定も数多く経験。システム機能だけではなく、社内業務コンサルとしての目線で中小企業のDX化を推進しています。
       

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