kintoneでできること、できないことを構築・伴走サポートの担当者目線で教えます!
「kintoneって言葉はよく聞くけど、実際に何ができるの?」
このように思ったときに調べると出てくる回答は大きく分けると2種類の回答があります。
・機能面
・運用面(利用シーン)
機能面は、kintoneの標準機能でできるこの他に、プラグインや連携によってできることがあり、それは「予算」「何がしたいのか」などによって回答の幅が変わります。
運用面は、機能的に実現できたとしても利用する人や場面によってうまく使えないといったことがあって、例えば外出先からの操作方法がスマホだと難しく感じるため、利用するべき社員さんが入力しないといった状態です。このような状態も考えた上で「できる」「できない」の判断となるため、何ができるの?という質問に対して、求められる正確な回答が難しくなっています。
具体的にどのような質問や、何を準備しておけば聞きたいことが聞けるのかヒントになればと思い、今回は構築・伴走サポートを行ってきた担当の立場から説明いたします。
kintoneを調べる目的
色々できそうだけど、実際に自分たちの会社でどんな風に使うことになるんだろうか?と考えて調べたり、知っている人に「kintoneってどんなことができるの?」と聞くこともあるかと思いますが、ざっくりと機能面を教えてもらっても、質問をした方にとって望む回答ではないことがほとんどです。
なぜ望む回答にならないのか?
それは、質問をした人のイメージしている業務がわからないと具体的にkintoneをどのように使うのかという想像ができないからです。
「ルックアップという機能があって、他のアプリの情報をコピーできる」と言われて、kintoneができることを調べている人が「なるほど!」と思うわけがありません。
例えば、継続的に来店されるような商売をしている会社さんが「来店履歴」を残すための入力フォームを作りたい。といった具体的な業務イメージがあったとして、それならお客様を選ぶだけで、管理番号・住所・連絡先など設定した項目を自動で転記することができるルックアップという機能があるよ。
という具合に、業務イメージに対して具体的な回答でないと機能面を伝えたとしてもよくわからないといったことになってしまいます。kintoneを調べる目的というのは自分がやりたいと思っている業務イメージを伝えて初めて調べた目的を達成できると思っておいた方が良いです。
kintoneの機能と運用を分けて考える
先の例で「来店履歴」をわかりやすいように美容院としてイメージして説明をします。
「顧客リスト」として顧客の基本情報を登録しているアプリと、日々来店されたお客様がどのメニューを利用されたかを記録する「来店記録」を登録するアプリを作成したとします。
「顧客リスト」でAというお客様のデータを見ると、過去に来店された「来店履歴」が表示されるようにして、「来店登録」をする際に予約一覧から選ぶようにしたい。
このような要望があったときに、質問をした人は「できる」「できない」を知りたいはずです。
でもこの質問に一言で回答をすると「機能的にはできますが、運用的に思っているものとイメージが違うかもしれません」ということになります。
この「機能的にはできる」と「運用的にはできると言い切れない」がkintoneだけではなく、ノーコードツールの難しいところなんです。
システムを開発で作る場合には、先の要望を聞きながらイメージに近いものを作ることが前提になるため「機能面」「運用面」で回答が曖昧になることはありません。お互いが納得した形で要件を固めてから作る作業に取り掛かることになります。
しかし、kintoneのようにノーコードシステム(プログラミングコードを書かなくても作れるシステム)は、自分たちで簡単に作れますが自由自在とまではいかないため、制限がある中で作るものになります。レゴブロックで「虹を再現したい」と言っても丸いカーブのブロックがない限りは丸くなりませんよね。四角をずらして組み立てて、少し遠目からみて「丸く見えるね」というのが限界なのと同じです。
そのため「機能」としてできることと、「運用(使い方)」としてできるかどうかは分けて考える必要があります。
確認するべき項目
「運用面でできるとは言い切れない」とは具体的にどのようなことかを説明します。
「来店予約の一覧から選ぶ」という要望がある場合に、つまりは予約を取った時点で一覧として表示されていることが前提となっています。美容院の予約というのはネットで予約するお客様もいれば、来店時に次回予約を口頭でされるお客様もいます。
どのような予約の仕方をしたとしても「来店予約一覧」に表示されるようにしないと、来店予約一覧から選ぶことはできません。
そこで「誰がどのタイミングで予約一覧に登録しますか?」ということが明確である必要があります。
kintoneでできるかできないかを確認するためには、この「誰が」「いつ」「どのタイミングで」といった状況を把握しておかないと、機能的に可能であっても運用として成り立たなくなります。
また見え方の問題もあります。「来店予約一覧」がExcelのように項目として並んでいるもので良いのか、またカレンダーに表示されるようなものをイメージされているのかで「来店予約一覧から選択する」の要望が可能かどうかが変わってきます。
kintoneの標準機能でのカレンダー表示はできますが、見え方としては「思っていたのと違う」と言われることが多く、プラグインを利用することを選択する会社さんも多くおられます。プラグインを利用することになった場合「できること、できないこと」はプラグインの機能としての確認が必要になるため、kintoneの機能面だけの回答ではなくなります。
拡張としてプラグインを利用したり、他のシステムとの連携などでできることの幅も変わってくるため、kintoneでできることを調べるときにはkintoneとしての標準機能の範囲で確認するのか、それとも拡張してでも実現させたいことなのか、どこまでの要望なのかを確認しておく必要があります。
できることとできないことの境界線
できること、できないことの境界線はkintoneの機能ではなく、自分たちの会社で決めていくことになります。先にも書いたように、機能面であれば拡張すればできるけど予算としてどこまで許容できるのか、運用面であれば利用する人たちがどこまで努力し対応することができるのか、といったことによって変わってきます。
これをkintone導入するときに明確に線引きすることはとても困難なので、絶対的にオススメするのは「段階を踏む」ということになります。
まずkintoneは使ってみないと使用感も自分たちとして対応できるかどうかもわかりません。機能面でできることをいくら熟知したとしても、実際に運用できるかどうかは使ってみることでしか確認することができないため、まずは標準機能と少しのプラグインで「kintoneってこういうものなのか」というところまでは理解することが良いです。
そして、拡張して利用するとしたらどこまでやるべきなのかを検討します。これもまた一気に進めるよりは利用する業務を広げながらある一定の目標を定めて運用してみます。
このように段階を踏みながら拡張することで、できるできないの境界線を会社のルールとして決まってくるのと同時に、失敗をすることがありません。
できるできないの境界線は自社で作るということを念頭に置いておいてください。
kintoneをできるようにするために必要なこと
様々な会社さんの導入・伴走サポートを行ってきた経験から、kintoneを使いこなすためには社内で取り組む姿勢が一番大事だと言えます。
「思ったとおりではないシステム=使えない」というスタンスでシステムを求める会社さんは、スクラッチ開発で自社専用システムを作ることが間違いなくて、kintoneのようにカスタマイズ性、拡張性のあるシステムを利用することはお勧めしません。
kintoneが何でもできると言われるのは、できることが決められていないため自分たちの必要な項目やアプリを好きなように作ることができるからです。そしてその情報を蓄積してデータとして活用することや、アプリ間を紐づけて一元管理するなどの利便性はとても高く、利点を活かしてつかうことでできると感じることの幅はとても広くなります。
何から始めて、どのように拡張していけば良いのか、そのようなことは専門家に相談するとよいですが、使うのは自分たちであり、社内で取り組む姿勢がないと自動的に発展することはありません。
逆に言うと社内でしっかり取り組むことにより、できることの幅ばどんどん広がります。仕組みとして確立してきたら、自動化できるように拡張することも可能です。
kintoneは導入したら終わりではなく、導入がスタートになります。しっかりと拡張させていけるように、前向きに取り組む姿勢で「kintoneで何ができるのか」を調べて欲しいと思います。
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