ノーコードAIとは？メリットやデメリット・できること・おすすめツール5選を紹介
「ノーコードAIについて気になっている」
「ツール導入や自動化を検討しているが、どこから始めればいいかわからない」
本記事を読んでいる人の中には、このような悩みをもっている方もいるでしょう。
ノーコードAIは、専門的なプログラミング知識がなくても、AIの力を借りて業務を自動化したり、新しいアプリケーションを作ったりできる注目の技術です。しかし、具体的に何ができるのか、自社にどう役立つのかが、わかりにくい部分もあります。
本記事では、ノーコードAIの基本から、導入するメリット・デメリット、具体的な活用例、そしておすすめのツールまでを網羅して解説します。
ノーコードAIで自社に合った業務効率化の施策を見つけるなら「伴走ナビ」にご相談ください。
目次
ノーコードAIとは？
ノーコードAIは、プログラミングの知識がなくてもAI（人工知能）や機械学習の機能を活用できるツールやプラットフォームのことです。これまでのAI開発は、専門的な知識をもつエンジニアが必要でした。しかし、ノーコードAIの登場により、エンジニアではないビジネス担当者でも、AIを使ったシステム開発や業務の自動化を進められるようになりました。
主な特徴として、マウス操作（ドラッグ＆ドロップなど）や、日本語のような自然な言葉での指示だけで、アプリケーションやシステムを構築できます。従来のノーコード開発ツールに、対話型の生成AIが組み合わさったイメージです。これにより、以前よりも複雑で高度な開発が可能になりました。
ノーコードAIを使う5つのメリット
ノーコードAIを導入すると、開発の進め方やビジネスのあり方に大きな変化をもたらせます。
- プログラミング知識が不要で誰でも使える
- 開発スピードが圧倒的に早い
- コストを削減できる
- 新しいアイデアをすぐ形にできる
- チームで協働しやすい開発環境を実現できる
ここでは、ノーコードAIを使う主な5つのメリットを紹介します。
プログラミング知識が不要で誰でも使える
ノーコードAIの最大のメリットは、プログラミングスキル、いわゆるコーディングが不要でAIアプリや業務システムを作れる点です。
画面上で部品をドラッグ＆ドロップしたり、日本語で「〇〇する機能が欲しい」と指示したりするだけで開発を進められます。このため、エンジニア以外の職種、例えばデザイナーやマーケティング担当者、営業担当者も開発プロセスに参加できます。
学習にかかる時間も短く、初心者でも短期間でツールを使いこなすことが可能です。日本語に対応したツールが増えている点も、非エンジニアにとって導入のハードルを下げています。
開発スピードが圧倒的に早い
ノーコードAIは、開発の速度を飛躍的に向上させます。従来の手法では数ヶ月かかっていたシステムのプロトタイプ（試作品）開発が、ノーコードAIを使えば数日や数週間で完成するケースもあります。
この速さを実現するのが、自然言語での指示による自動コード生成や、あらかじめ用意されたテンプレート（雛形）の活用です。AIが開発作業の多くを自動で肩代わりするため、開発工数を大幅に削減できます。
また、修正や仕様変更への対応も柔軟です。画面を見ながら「ここのボタンの色を変えて」といった指示を出すだけで即時に反映できるため、手戻りが少なくなります。開発からテスト、そして運用開始までをスムーズに進められます。
コストを削減できる
開発スピードが上がる結果、開発にかかるコストも大幅に削減可能です。まず、エンジニアや外部の開発会社に依頼する必要性が減るため、人件費や外注費を抑えられます。
多くのノーコードAIツールは、無料プランや低価格の月額制（サブスクリプション）で提供されているため、初期投資を小さく抑えてAI導入を始められます。
さらに、従来のシステム開発で必要だったサーバーの構築や、完成したコードの管理といった運用面のコストも軽減可能です。導入後の機能追加やシステム変更にかかる費用も少なく済むため、長期的な視点でもコストメリットが期待できます。
新しいアイデアをすぐ形にできる
ノーコードAIは、新しいアイデアの検証（プロトタイプ開発）と非常に相性が良いです。非エンジニアでも、自分の「こんなサービスがあったらいいな」という発想を、直感的な操作ですぐに試作品として形にできます。
例えば、新規事業の企画担当者が、顧客向けの新しいアプリのアイデアを思いついたとします。ノーコードAIを使えば、その日のうちに簡単なデモ画面を作り、チーム内で使用感を試すことが可能です。
AIが利用者の要件を理解し、自動で画面デザイン（UI）や機能を構築してくれるため、創造的な発想を具体的な実装に結びつけやすいのです。
チームで協働しやすい開発環境を実現できる
ノーコードAIツールは、チームでの共同作業を前提に設計されているものが多いです。クラウド上で提供されるため、複数のメンバーが同時に編集に参加できます。
デザイナー、マーケティング担当者、プロジェクトマネージャー（PM）など、異なる職種の人々が同じプラットフォーム上で連携可能です。
誰が・いつ・どこを変更したかの履歴や、システムの設計図が画面上で可視化されるため、「今どうなっているか」の認識を合わせるためのコミュニケーションコストが減ります。AIが仕様書などのドキュメント作成を自動でサポートする機能もあり、開発内容の共有がよりスムーズになるでしょう。
ノーコードAIを使う4つのデメリット
ノーコードAIは多くのメリットをもたらしますが、万能ではありません。導入後に「こんなはずではなかった」と後悔しないよう、事前にデメリットや限界も理解しておく必要があります。
- 高度な機能には制限がある
- 特定のツールに依存するリスクがある
- AIや機械学習の基礎知識が必要になる
- セキュリティ面で懸念がある
これらの注意点を、一つずつ確認していきましょう。
高度な機能には制限がある
ノーコードAIは「プログラミング不要」である一方、複雑なアルゴリズムや企業独自の特殊な機能の実装には限界があります。ツールがあらかじめ用意している機能の範囲を超えるため、高度な設計や大規模なデータ処理には不向きな場合があります。
ツールによって対応できるAIモデルや連携できる外部サービス（API）が異なるため、作りたいものに対して柔軟性が足りない可能性も考慮しなければなりません。
特定のツールに依存するリスクがある
ノーコードAIツールを導入するということは、そのツールを提供している企業のプラットフォームに依存する状態になります。当然ながら、開発できる機能は、そのツールが提供する範囲内に限られます。
もし、利用しているツールが将来的にサービスを停止したり、大幅な料金改定を行ったりした場合、大きな影響を受けるリスクがあります。また、一度そのツールでシステムを構築してしまうと、他のツールへデータを移したり、システムを乗り換えたりするのが難しいケースも少なくありません。
特に、新しいスタートアップ企業が提供するツールの場合、サポート体制や運営の安定性に不安が残る可能性もあります。長期的な運用を見越して、信頼できるプラットフォームを選ぶ視点が必要です。
AIや機械学習の基礎知識が必要になる
「プログラミング知識は不要」ですが、「AIの知識も全く不要」というわけではありません。表面的な操作は簡単でも、AIが出力した結果が本当に正しいのか、精度を判断するためには最低限の基礎知識が求められます。
例えば、「RAG（ラグ）」や「LLM（大規模言語モデル）」といったAI関連の基本的な概念を理解していないと、ツールを最適化できません。
AIが期待通りの動きをしなかったり、不具合や誤った情報を出力したりした際、原因を特定して対応するためには、データ設計や学習モデルの挙動に関するある程度の技術的な理解が不可欠です。ツールの導入は簡単でも、それを現場で安定して運用し続ける段階で、技術的な壁に直面する可能性があります。
セキュリティ面で懸念がある
ノーコードAIツールの多くは、インターネット経由で利用するクラウドサービスであるため、情報漏洩のリスクを考慮する必要があります。
特に外部の生成AIと連携する際、入力したデータが第三者のサーバーに送信される場合があります。もし社内の機密データや顧客の個人情報を扱う場合、そのデータがAIの学習に使われていないか、暗号化やアクセス制御の機能が十分かを確認しなければなりません。
ツールによってはセキュリティ機能が不十分なケースもあります。海外製のツールを利用する場合は、日本のデータ保護法制に適合しているかどうかの確認も重要です。機密情報を扱う際は、利用できる範囲を制限するなどの社内ルール整備が求められます。
AIを活用したノーコード開発でできること
ノーコードAIは、私たちの働き方を具体的にどのように変えるのでしょうか。
- 自然言語でアプリを開発
- エラー修正やコード生成をAIが自動化
- 業務効率化ツールや社内システムの構築
- AIチャットボット・RAG機能で社内データを活用
ここでは、AIを活用したノーコード開発で実現できる代表的な4つの例を紹介します。
自然言語でアプリを開発
ノーコードAIの最も革新的な機能の一つが、日本語のような自然な言葉で指示するだけでアプリケーションを開発できる点です。
例えば、開発者が「顧客情報を管理するアプリを作りたい」と入力すると、AIが自動で必要なデータベースの構造や入力画面を生成してくれます。従来のノーコードツールのように、テンプレートを選んで組み合わせる必要がなく、ゼロから自由度の高いアプリを構築可能です。
AIが画面デザイン（UI）を自動で生成し、その後の修正も「このボタンを大きくして」といった会話形式で反映できます。簡単なプロセスにより、非エンジニアでも試作品（プロトタイプ）から本格的な運用レベルのアプリまで、スムーズに開発を進められるでしょう。
エラー修正やコード生成をAIが自動化
ノーコード開発はプログラミングが不要とはいえ、内部ではコードが動いています。ノーコードAIにより、コードのエラー（バグ）修正や品質管理も自動化することが可能です。
AIが作成されたコードを解析し、問題がありそうな箇所や、より良い書き方を自動で提案してくれるため、開発者はバグ修正にかかる手間を大幅に削減できます。
また、AIは最適化された高品質なコードを自動で生成し、構文のミスや冗長な記述を整えます。さらに、システムが正しく動作するかを確認する「テストケース」も自動で生成するため、品質を保ちながら迅速な開発が可能です。
開発の生産性を高めるだけでなく、将来的な保守や改修にかかるコストも削減できるでしょう。
業務効率化ツールや社内システムの構築
ノーコードAIは、日常業務を自動化するワークフローの構築に強みを発揮します。生成AIとノーコードツールを組み合わせることで、これまで手作業で行っていた定型業務を自動化できます。
例えば、SlackやLINE、Googleスプレッドシートといった普段使っているツールと連携設定が可能です。「Slackに投稿された問い合わせ内容をAIが判断し、Googleスプレッドシートに自動で転記・集計する」といった社内処理を自動化できます。
自動での集計やレポート作成、承認フローなどもAIが処理するため、人間の作業を大幅に削減可能です。現場の担当者が自ら必要な業務システムを構築できるため、IT部門への依頼が集中する状況も軽減されます。
AIチャットボット・RAG機能で社内データを活用
ノーコードAIを使えば、高機能なAIチャットボットも簡単に作成できます。特に注目されているのが「RAG（Retrieval-Augmented Generation）」と呼ばれる機能です。
RAGは、社内のドキュメントやマニュアル、過去の問い合わせ履歴などをAIに参照させ、それらの情報に基づいた正確な回答を生成する技術です。これにより、社内FAQや顧客サポートの問い合わせ対応を自動化できます。
作成したチャットボットは、SlackやDiscordといったチャットツール上で動作するため、従業員が必要な情報をすぐに検索できたり、業務上の質問に即座に対応できたりします。社内に眠っていたデータ（ナレッジ）の活用範囲が広がり、サポート業務の負担軽減や情報共有の円滑化につながるでしょう。
おすすめのノーコードAIツール5選
ノーコードAIの導入を検討する際、具体的にどのようなツールがあるのかが気になる点です。
- kintone｜プログラミングの知識不要でアプリ制作
- Jinbaflow｜日本発の業務自動化ツール
- Create｜UI開発に強く、無料プランも充実
- Bubble｜Webアプリ開発の王道ツール
- Coze｜チャットボット向け
ここでは、国内外で注目されている、おすすめのノーコードAIツールを5つ紹介します。
kintone｜プログラミングの知識不要でアプリ制作
kintone（キントーン）は、サイボウズ株式会社が提供する、業務改善プラットフォームです。プログラミングの知識がなくても、自社の業務に合わせたアプリケーションを「ノーコード」で作成できます。
AI機能の搭載により、kintone内に蓄積されたデータをAIが自動で分析・検索し、必要な情報をすばやく抽出するため、現場での意思決定スピードの向上が期待できます。AIがアプリ作成そのものをサポートする機能もあるため、初心者でも業務改善アプリを簡単に構築でき、IT専門でない人材でも社内のデジタル化を推進できるでしょう。
スレッド要約AIやレコード分析AIなど、多様なAI機能があり、チーム内の情報共有やレポート作成も可能です。また、入力された顧客データがAIの学習に使用されない設計になっており、セキュリティ面を重視する企業でも安心して利用できます。
Jinbaflow｜日本発の業務自動化ツール
Jinbaflow（ジンバフロー）は、業務自動化に特化した日本国内製のノーコードAIツールです。日本のビジネス環境に合わせて設計されており、日本語のUI（ユーザーインターフェース）に対応しています。
Googleスプレッドシート、Slack、Notionなど、日常業務でよく使われる多くのツールと連携し、定型作業を自動化します。豊富な公開テンプレートが用意されているため、専門知識がなくても簡単に自動化の仕組み（ワークフロー）を構築可能です。
海外製ツールと比べて、サポート体制や操作画面の表記が日本語中心であるため、特にノーコードツールに初めて触れる初心者にも扱いやすいのが特徴です。
Create｜UI開発に強く、無料プランも充実
画像：Create 公式サイト
Create（クリエイト）は、WebサイトやアプリケーションのUI（見た目のデザイン）開発に強いノーコードAIツールです。日本語で「こんなデザインのページが欲しい」と指示するだけで、AIが自動でUIを生成します。
ChatGPTのような対話型AIや画像生成AIとも連携しており、ビジュアル面と機能面の両方から開発をサポートします。
世界中のユーザーが作成したテンプレートを再利用できるため、UI設計の幅が広く、デザインのヒントも得やすいです。無料プランでも作成回数に制限がなく、個人開発者や小規模なチームが新しいサービスを試作するのに向いています。
Bubble｜Webアプリ開発の王道ツール
画像：Bubble 公式サイト
Bubble（バブル）は、高機能なWebアプリケーション開発で世界的に有名なノーコードプラットフォームです。単なるWebサイト制作にとどまらず、データベースの構築や外部サービスとのAPI連携など、複雑な機能も実装できます。
画面上で部品をドラッグ＆ドロップする直感的な操作で、本格的なWebアプリを構築可能です。
世界中で利用されているため学習教材やコミュニティが豊富で、初心者でも学びやすい環境が整っています。AI機能の統合も進んでおり、長期間安定して利用できる拡張性の高さと信頼性が評価されています。
Coze｜チャットボット構築向け
画像：Coze 公式サイト
Coze（コーズ）は、ノーコードで生成AIチャットボットを作成できるツールです。RAG（Retrieval-Augmented Generation）機能を搭載しており、社内ドキュメントや特定のWebサイトのデータをAIに読み込ませることで、精度の高い応答を実現します。
Slack、LINE、Discordなど、さまざまなプラットフォームと連携し、作成したボットを複数の環境で同時に動作させられます。
豊富なテンプレートとシンプルな操作画面（UI）が特徴で、AIチャットボット開発の初心者でも扱いやすいツールです。
ノーコードAIの活用にお悩みなら「伴走ナビ」へご相談ください！
ノーコードAIは、プログラミング知識がない非エンジニアでもAIの力を活用し、業務を自動化したり、新しいアプリケーションを創出したりできる強力な手段です。
開発スピードの向上、コスト削減、アイデアの迅速な形化、チームでの共同開発など多くのメリットがあります。一方で、高度な機能の限界やツール依存、セキュリティリスクなどの注意点も理解する必要があります。
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