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【実録】kintone導入失敗をした中小企業~原因と対策~

kintone導入失敗

少し前の話になりますが、ある会社で起きたリアルな話です。
kintone(キントーン)を導入時の失敗としては、今まさにそこら中で起きている実態だと思いますが、知っておくことで回避できる話にはなります。ぜひ参考にしてください。

kintone導入時の要望

【背景】

・建設業
・社員50~60人
・事務職7人
・社歴 80年以上

建設業を少し知っている人はイメージがつくと思いますが、昔からのやり方で業務が行われていて、紙も多くExcelは請求書を発行する程度にしか使っていないような状況でした。

業績はとても良く、今後もまだまだ伸びる要素はありますが、さすがに人力では限界ということ、今後の人手確保のためにもIT化していかないといけないといった経営陣の意向によりkintone導入を決めました。

【当初の要望】

「現場で作業が終了したら、その場でスマホで報告書を作成し、現場のステータスを確認して事務員さんが請求書を発行となるが、請求書は締め日に自動で作成されるようにしたい。」

建設業ではよくある話で、作業員さんの報告によって請求が発生するため報告は大事な業務ですが、そのためだけに会社へ戻って報告書作成業務をするのは手間だし、チャットツールだと流れていってしまい事務員さんの確認作業が大変になります。

要望に関しては経営陣からのお話で、要件定義もすべて経営陣の方々の出席のもと行われ、現場作業員さんが入力することもあり、作業報告書アプリ作成に関しては現場作業員さんも同席いただき、詰めていったという状態です。

結果的によくあるシンプルな業務フローではありますが、まずは基本的なところというスタンスで作成した構成が図のようになりました。

kintone構築設計図理想

細かい設定としては、一覧表示の見え方や通知の設定など、事務員さんが案件管理を確認しやすいような工夫も行い、当初の要望を満たした形の構築であとは使ってもらって少しずつ改修するという状態までは完成しました。

kintone構築完了してからの問題

【改修作業ができない】

kintoneを作るときによく言われていますが「6割まで作り、使いながら完成させる」というのは、使ってみると「選択項目が足りない」「一覧画面で操作したい」など、もっと使いやすくするための調整が必要になります。

これは使う人目線は使わないとわからないため、実際に運用しながらもっと業務に馴染ませていくためにとても大事な工程となります。それが伴走サポートが必要と言われている理由でもあります。

逆に言うと「使わなければ使いづらいまま」となってしまうので、この段階で何よりも大事なのは「使うこと」なのですが、こちらの会社さんは残念なことに使ってもらえませんでした。何度も何度も連絡をして「どうですか?入力してみましたか?」と声をかけ続けたのですが「今は忙しくて・・・」などいろいろな理由により進みません。

この時点で進まなかったのは「案件管理」で、実は要件定義の時点では案件管理を入力する事務員さんはあまり意見をされておらず「項目があれば入力できる」とおっしゃっていたのです。実際は通常業務が忙しいこともあり、新しい作業となるkintoneへの入力はあとで確認しようと思いつつ、時間がどんどん過ぎていき、改修作業へ進むことができませんでした。

【導入時の熱が冷めていく】

最初は勢いをもって導入に取り掛かろうとしていた経営陣や、協力してくれた現場作業員さんもいつまでたっても動かないと段々存在すら忘れてしまいます。声をかけても「事務員さんに言っておく」といった回答で、事務員さんは「忙しいので時間があるときに触ります」という回答。

導入時の要件定義の内容はすべて構築できていたので、本来は外部がとやかく言うことではありませんが、私たちはどうしても使ってもらいたい気持ちが強くありました。私たちまで冷めてしまったら、本当にこのままガラクタとなってしまうという危機感もあり、熱が冷めきる前に何とかしなければと思っていました。

実際によくある話で、導入を決めて要件定義をしてから構築までに時間がかかると熱が冷めてしまいます。そのため、kintoneのように拡張・改修ができるシステムは未完成でも触れる状態にすることがとても大切です。触りながら覚えて理解し、それを業務に落とし込んでいく過程があってこそ熱を保つことができます。

復活のきっかけ

【気づいていなかったことが判明】

先に決定権者の方に許可をいただき、事務員さんに「一緒に入力してみましょう」と半ば無理やり入力作業を見せてもらいました。そこで気が付いたのがヒアリング時に事務員さんから聞いた「項目」の使い方の認識が経営陣と事務現場では全く違っていたことです。

例えば「請求書の発行のタイミング」ですが、経営陣は「請求書を作成するときのタイミング」を聞いていました。システムで自動発行する際には当然聞く項目となり「現場が完了したら」「契約時に決めた回数を定期的に」などいろいろあるのですが、そのような決め事をキーにして自動発行するようにシステムを構築します。

しかし、事務員さんは「ルーティーンワークの中でいつ請求書発行作業をするのか」ということだろうなとフワっと思っていただけだったのでで、いざ入力しようとしたら「この項目の意味がわかりません」と言われました。

この「フワっと思っていただけ」はITリテラシーの低い方に多く、悪気があるわけでも無責任なわけでもなく、何が良くて何が違うのかがわからずに言語化できないために、とりあえず何となくわかるような気がするからいいかな、と前向きに感じているだけです。

【目線の変更】

最初は経営陣の目線で「業務効率化」を考えた上で最初はシンプルに作ろう、と思っていました。しかし「案件管理」が入力されなければ始まらない設計だったため、目線は案件管理を入力する「事務員さん」に合わせる必要があったと思い、事務員さん目線に変更しました。

kintone作り直し設計図

注意して行ったのは次の2点です
・Excelの「案件一覧」とできるだけ同じように見えるkintoneの「案件管理」にする
・Excelの「請求書発行」と同じようにkintoneの案件管理から「請求書アプリ」で作成

帳票出力はRepotonU Proにしたので、請求書アプリにレコードを作ることができれば、あとはボタンクリックで発行できるため簡単です。

原因と対策

この事例での問題点は経営陣の理想と現場のITリテラシーが大きく乖離していたことにあります。実際にこの会社の事務業務をヒアリングした際に「事務員7名は多いのでは?」と思いました。経営陣がそこを効率化したくなる気持ちもよくわかります。

多分最初の要望の「現場作業員の報告書提出の効率化」は、報告書が紙だと現場との突合にも時間がかかるため、事務員さんの仕事も効率化したかったのだと考えられます。

〈原因〉
・最初の要望は「作業員の現場での報告書入力」ではなく「事務作業の効率化」だった

〈対策〉
・事務員さんへのヒアリングの際「何の項目があれば案件管理を作成できますか?」ではなく、「どのような流れで案件から請求書を作成していますか?」と事務員さん目線での手順を確認すること。

要望であった「作業員からの完了報告」は「請求書発行」のために必要な情報であったため、「請求発行の手順」に注力しつつ、経営陣の要望を一気に実現することをミッションにするのではなく、最初に入力する人のリテラシーに目線を合わせることが必要でした。これは勇気のいる切り替えにはなりますが、ここに注力することでkintoneのメリットである拡張・改修を活かすことにもつながります。

まとめ

kintoneの良いところは、最初に作った構築はそのまま残しておいて、マネーフォワードクラウド請求書と連携しているプラグインを「無効」にしておくだけで、そのまま利用できるという点です。

先に事務員さんにkintoneに慣れてもらい、違うアプリでも情報がつながっていることなどをしっかりと理解してもらい、例えば請求金額を変更する際の手順など、不具合が起きたときにどこを触れば良いのかなど、対応方法も理解するところまではできる限り手作業で行ってもらいます。

その後にkrewDataを動かして請求書自動作成をするなど、事務員さん目線で理解できていることを確認しながら拡張していく際に、最初に構築したものを少しずつ動かすといったことが可能です。

「伴走サービスが大事」と言われているのも、このように企業に寄り添い、一緒に進めていくことがお互いにとって良いことだからこそであり、「内製化」したい中小企業さんも一瞬教わればできるものではなく、業務に支障が出ないようにしながら少しずつ社内に落とし込んでいくというように時間がかかるものだと思っておくことが失敗しない秘訣になります。

システムは導入すれば業務が効率化するのではなく、使いこなして初めて効率化するものです。人だからこそ様々な場面に対応できていることは実はたくさんあります。しかしそれが良いのではなく、現状を認識してルールを整備していく作業がシステム化でもあります。
前向きに取り組みながら、会社の業務効率化、利益向上を実現してください!

たけたに
kintoneを軸とした中小企業のDX化サポートをしています。 導入する企業さまと一緒に構築をし、伴走して運用に落とし込むお手伝い、さらに担当者の教育を行っています。 kintoneだけではなく周辺業務の専門システムを連携する業務設計を運用担当者と一緒に考え、仕事をただ義務と責任で行うのではなく、自分の能力を最大限に活かし楽しむ場となることを願いつつサポートしています。
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