プラグインの種類が多すぎてわからない!何を基準に判断するべき?
kintone(キントーン)って何ができるんだろう?と調べようとすると、必ず出てくる「プラグイン」ですが、システム界隈の仕事をしている人には当たり前の用語で簡単にいうと「拡張機能」です。
足し算しかできないソフトにプラグインをいれたら掛け算もできるようになりました、的な感じ。
kintoneの標準機能ではできないことを、プラグインを入れて出来るように拡張していき、自社の業務をやりやすく改善できるようにKintoneを作るために使います。
kintoneはプラグインを使う他に、JavaScriptカスタマイズ、CSSによるデザインのカスタマイズ、そしてAPIを使って他のシステムと連携などの拡張ができるものになっていて、今回のテーマとなっているプラグインは、設定画面用のHTML・JavaScript・CSSファイルをパッケージングしてkintone環境自体に適用するものです。プログラミングの知識がなくてもアプリに適用したいkintoneプラグインを取り込み、設定画面で必要な設定をするだけ!アプリの機能拡張や他のクラウドサービスとの連携を誰でも簡単に実現できます。
プラグインにもいろいろな種類があり、日々どんどん増えております。もちろんそれぞれに便利なのですが、kintoneは自宅を注文住宅で建てるようなものです。当然ライフラインとしてキッチン、お風呂、トイレはあるものの、システムキッチンにするとか、ジャグジー風呂にするなどは自宅なのでその人の好みですよね。システムキッチンが絶対に必要なわけではありません。kintoneのプラグインも似たようなもので、すごく便利であっても「ウチにはいりません」ってことも「ウチとっては便利ではありません」ってこともあります。
他にもプラグイン同士が干渉をして動かなくなることもあります。
プラグインは便利だからといって「とりあえず使っておこう」というよりは、これは絶対必要という判断の元で利用することがポイントです。
目次
ちょっとだけ拡張、無料のプラグイン
多くのプラグインがあるため何をどう選べばよいのかはわからないし、少しの拡張ならJavascriptを勉強すればわりと簡単に行うことができます。ひとつのアプリを他に連携させることなく利用するならば、希望通りの動きをしてくれればそれでOKなのですが、私たちのようにお客様のkintoneを作成する場合は慎重にならなければなりません。
その理由としては、システムは作成よりも運用に対応して改修できるかがとても大事になるため、想定していない動きをしたときにエラーが起きて、業務が止まってしまうというリスクがあるからです。
特に、プラグインは相性によってプラグイン同士が干渉することで発生するエラーはよくあることなので、使用する際には何度もテストを行い、ちゃんと動いてくれることを確かめてから利用することをお勧めします。
選ぶ基準としては、プラグインを出している会社さんの対応や信頼というのが大きなポイントで、kintoneのアップデートへの対応や、そもそも何をしている会社さんなのか、というように無料プラグインを提供する理由は見ておくと信頼できるかどうかの判断ができるかと思います。
数あるプラグインの中でも私たちが日ごろから使っているプラグインを参考程度にご紹介します。
(2023年4月時点の画像です)
【文字結合プラグイン】
文字列一行のフィールドは自動計算で「名前+電話番号」などを作成することはできますが、重複禁止が使えないなど制約ができてしまいます。その点を補って文字列を結合してくれるので、とても便利です。Cybozu developer networkが提供しているもので、開発者向けに細かく色々な情報を発信しつつ、利用者さんからの意見や反応も記載されてあるので、ぜひ訪れてみてください。
【ルックアップコピー項目編集プラグイン】
例えば「ルックアップを利用して商品をマスタから選択したときに、定価が金額の欄にコピーされるのですが、値引きをするときもあるので、金額を変更できるようにしたい」など、ルックアップコピーされる項目は通常グレーアウトしているので、編集できないところを編集できるようにしたいという要望はすごく多くて、それに対応しているプラグインです。
ただ、注意しなければいけないのは、後でデータを取り込みなおす際にルックアップを再取得すると、ルックアップ元にあるデータをコピーしてくるために、変更したデータは上書きで消えてしまうので、利用する際にはしっかりとルールを定めておく必要があります。
rex0220シリーズはとても多くのプラグインがあり、kintoneを使い込んでいく中でどんどんハマるものが増えてくるので、使う使わないは別にしてチェックしておくと良いですよ。
【自動採番/アディエム】
自動採番は必須といえるプラグインとなります。無料の中で一番お勧めできると思っているのがアディエムさんの自動採番で、動きも安定していて、モバイル対応しているところがお勧めポイントです。
自動採番はkintoneの利用の仕方によって、適応して欲しい要件が違うため、無料の中では絶対的にこれがいい、というものはありませんが、アディエムさんは何か不具合や質問があるときの対応が親切なので、システムが苦手だけどkintoneを頑張って使いこなしたいと思う会社さんにとってはありがたいはずです。
【テーブルヘッダー固定プラグイン】
ニーズが多いというよりは「なるほど、こういうのもあるのね!」的な紹介になりますが、kintoneのサブテーブルは行を増やしていけるのがとても便利な反面、Excelのように並び変えたり、行列の固定ができなかったりと使いづらい面もあります。
このプラグインはアプリに入れるだけで、設定をおこなうことなくサブテーブルの一番上のヘッダーを固定してくれるため、行が増えていっても何の項目なのかを見ることができます。
最近とても増えている様々なプラグインの中でも、DX推進グループ/株式会社ジャパンコンピューターサービスさんは丁寧な仕様だなという印象があり、プラグインの利用・設定の説明ページもとてもわかりやすいので試してみると良いと思います。
【条件分岐処理プラグイン】
TIS提供のプラグインで、できることが多すぎて簡単に紹介するのが難しいレベルです(笑)
例えば「Aさんが選択されたら時給1200円、Bさんが選択されたら時給1500円」「C契約を選んだ場合は、D項目が入力必須とする」など、条件を指定して何ができる、何を非表示など、色々な設定が可能な神プラグインのひとつです。
kintoneプラグインでやりたいことを書いて検索すると、かならずどこかに出てくる「TIS」ですが、無料かというと一応年間7,500円の「kintoneプラグイン&アプリカスタマイズ支援サービス」があり、こちらに申し込みをしていない場合はアプリを開いたときに「TISからのご連絡」とサポートサイトに利用登録してくださいね。という内容のポップアップが表示されます。
とても多くのプラグインを自由に使えるようにしてくれているので、私は回し者でもなんでもないですが、できればサービス登録をして年間7,500円払って利用して欲しいなと思っています。
帳票出力、メール配信などひとつの業務を簡素化
日常業務の中には手間がかかる作業が多く存在します。実際に人の手でないと無理という作業も多いのですが、逆にいうと「○○するためにこんなに多くの時間をかけてるの?」と聞いてびっくりするような作業もあり、少しでもその手間を簡素化することにより、他の仕事に手を回すことができます。
【帳票出力】
見積書、請求書の発行がExcelで前回提出してあるファイルを開き、シートをコピーして次月分を発行している。前回提出したファイルに上書きで入力し「新しく保存」している、などは多くの会社さんが行っている運用です。
このような運用をkintoneで行うときの手順例をご紹介します。
①見積書アプリを開く
②顧客名をルックアップフィールドで選択
③必要項目に入力(できるだけ少なく済むように設定)
④保存して「見積書出力」ボタンをクリックしたら作成完了
この際に「見積書出力」のボタンからExcel、PDFなど設定を行った帳票が出力されるのですが、これがプラグインを利用しないとできないことになります。
【お問い合わせや発注をkintoneに直接入力】
kintoneに入力をするにはkintoneにログインするためのIDが必要になりますが、HPのお問い合わせを直接kintoneに入るようにしたい、セミナー実施後のアンケートを集計するために自動でkintoneのレコードとして登録されるようにしたい、などkintoneIDを持たない不特定多数の方から直接入力してもらうためのプラグインがあります。
【複数の角度からの集計データを作成したい】
お客様別の売上、担当者別の売上、商品別、年月別、など経営分析に利用するデータは業務の中ではまとまっていないために、あとでExcelなどを利用して集計している会社さんも多くあります。
専門ツールを使うにしても、データの入力をし直していて、その作業に多くの時間を割いていることもあるでしょう。
kintoneも標準機能だけだと、さまざまな角度からの集計というのが苦手になりますが、プラグインを利用することで可能となります。
ほんの一例の紹介でしたが、業務の簡素化をするためにはその機能に特化したプラグインを利用することで格段に業務効率が良くなりますので、ぜひ色々と探してみてください。
プラグインという名前の連携機能
kintoneは他のシステムとも簡単に連携できますが、システムによっては「連携をするためのプラグイン」を利用する必要があり、その利用にもお金がかかることがあります。
・マネーフォワード「マネーフォワード クラウド for kintone」
・ストラテジット「Great Sign × kintone コネクター」
実際に利用する連携後のシステムというのは、それぞれ会計システム、電子契約システムであったりするものや、Yoomのように何と何をつなげますか?と自由に設定できるものがあり、自社の業務の流れをしっかりと設計しておかないと、連携できることが混乱を招くことにもなります。
プラグインを利用した連携は、プログラム知識がなくても簡単に行うことができるため、最初からやりがちではありますが、実際はデータの動きをしっかりと把握してから行うことが重要なので、あわてずに社内の情報を整理することから始めて、慣れてきてから連携を行うようにすることが失敗しないコツのひとつでもあります。
まとめ「何を基準で選ぶべき」
kintoneプラグインとひとくちに言っても種類や目的があり、有料・無料、導入のタイミングなど最適解は簡単には決めることができません。
kintoenを使う目的として「完全システム化」でシステム会社さんに開発を依頼し、1,000万円は覚悟した自社システムを作成する。という場合を除いての話にはなりますが、kintoneの良さは「直観的に操作できるためプログラムコードの知識が不要」「改修ができる」ことが大きいと思っています。
月7,500円から始められるシステム化、ということがメリットなので、まずはkintoneを熟知することから始めていきましょう。それは「プラグインを利用しない」ということではなく、適切なプラグインを知るためには使い慣れていく必要があるということです。
個人的には「ATTAZoo」というプラグインは最初の理解段階ではとても有効的と思っているのでお勧めしています。
・JBアドバンスト・テクノロジー「ATTAZoo+(13機能のプラグインセット)」
プラグインを選ぶ基準として大事なのは「自分たちの理解レベル」があって、その上で「何をしたいか」の段階に進みます。そしてそこまでわかれば「費用対効果」を図ることができるので、価格が見合っているのかどうかの判断が可能となります。
あせらずに、まずはkintoneを使って社内情報を集約するにはどうすれば良いのかを考えていきましょう!
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