社内へのkintone浸透術 ~手段と目的の使い分けで効果的な社内浸透を実現~
kintoneの導入が決定し、徐々にコツをつかんできてどんどんアプリを作れるようになってきたとき、ぶち当たる壁が必ずあります。
せっかく作ったアプリなのに誰も使ってくれない・・・
うまく社内にkintoneが浸透していかない・・・
作ったアプリに問題はないはず、これを使えば業務改善につながっていくはずなのにどうして・・・
アプリの作成者は、どうすればみんなにkintoneを使ってもらえるのか悩んだこともあるのではないかと思います。
現場の方が今までと違うやり方を嫌うのは当然のことです。
便利になると分かっていても今までの慣れた方法が安心できる、それも理解できます。
ですが目先のことではなく今後のことを考えるとkintoneに移行していきたい。それが担当者の率直な意見です。
そのためにはどうすればいいか。
上司や経営者などからkintoneを使うようにプッシュしてもらう、
強制的にこれまでの手段を無くしてしまう、
こういった手段もあるかと思います。
そこで今回はkintoneをスムーズに全社に浸透させていくために実際に私が試した考え方をご紹介します。
kintoneを「手段」と「目的」に分けてみる
基本的にkintoneなどのツールは業務や業務改善の目的を果たすための手段です。
ですが、「kintoneの使い方」ということで考えてみると、大まかに手段と目的に使い方が分かれるのではないかと思います。
手段としてkintoneを使う
目的としてkintoneを使う
使い方として二つに分かれるのであれば、社内浸透のさせ方も二つのアプローチがある、ということになります。
それぞれどういうこのなのか、説明していきます。
「手段」としてkintoneを使う場合
手段としてkintoneを使うということは、まさに業務の目的を果たすためにkintoneを使うということです。
例えば有給休暇の取得申請などの業務がそれにあたります。
報告や申請に係わる業務はkintoneを使わなくても業務の目的を果たすことができます。
これまで届出書を提出することによって行っていた有休休暇の取得申請を、kintoneのプロセス管理を使って行うように変えたときのこと、いきなり紙での申請からkintoneに変更することで拒否反応が出るかもしれない。
そこで、
有休休暇の申請はkintoneでも紙でもどちらでもいい
ということにしました。
目的は有給休暇の取得をすることであり、その手段は紙でもkintoneでも果たせるからです。
ただし、紙でもどちらでもいいことにはしますが、kntoneを使うメリットの案内を、
紙での申請があった時には声を掛けたり、社内の掲示板にアプリの説明と一緒に載せたりするなど、
将来的にkintoneを使ってもらえるように案内をしていきました。
こうすることで、はじめは紙での申請をする人もいましたが徐々にkintoneでの申請に変わっていき、今ではkintoneでの申請率は100%になっています。
<kintoneを使うメリット>
- 紙で提出する場合は届出書を自分でコピーしてもらう
- kintoneだと在宅など社外からも申請可能
- kintoneだと承認者が出張など不在の場合でも承認できる
「目的」としてkintoneを使う場合
続いて目的としてkintoneを使うということの説明です。
目的としてkintoneを使うとは、「kintoneにデータを貯める」ことが必須になる業務です。
例えば売上データや、製品の入庫や出庫データを貯めていくアプリがあります。
売上データは集計したり分析したりなどデータ活用にも使用しており、
入庫データと出庫データは二つのデータを合算して「在庫表アプリ」を作成しています。
でも多くの場合、「入力作業」をしてもらうのに苦労することが多いのです。
そこで私は、
はじめのうちは入力を全て私が行い、kintoneで管理することによる効果を見てもらう
そしてkintoneにデータを入力できているからこそ正しくデータ管理ができるということを理解してもらう
ということを行いました。
kintone導入後しばらくは私が入力作業をしていましたが、今ではすべての入力作業を引き継ぐことができています。
入力後の流れや結果や効果を先に見てもらって便利さを知ってもらうことで、その後の引き継ぐがスムーズに進んだのではないかと思います。
在庫管理のkintone導入前後の変化
<kintone導入前の課題>
- エクセルで月末締めの在庫表を作成、紙に印刷し1ヶ月間使用する
- 製品の入出庫を手書きで追加や消込を行う
- 手計算するため計算間違いが多い
- 紙で管理しているため現場作業者も事務所に来ないと確認できない
<kintone導入後>
- 入出庫それぞれの担当者がアプリに入力
- 2つのアプリを集計し「在庫表アプリ」で確認
- 正しく入力できていれば正しい在庫が毎日更新される
- 現場作業は事務所に来なくても現場から在庫の確認が可能
- kintoneの機能を使って、受注残状況や出荷履歴などを関連レコード一覧で表示できる
今回のまとめ
今回は私がkintoneを社内に浸透させるために実際にやっていったことを書いてみました。
大きな反対意見も出ることなく、じわじわと社内へkintoneが浸透していきました。
kintoneを使うことで現在の作業と比べどのようなメリットがあるのか、を理解してもらうことで、
みんなが「kintoneって便利だな」「じゃあkintoneでやってみよう」という意識になっていけば拒否反応や反対意見も少なく社内に浸透していけるのではないかと思います。
また、今回kintone活用を「手段」と「目的」という表現をし、kintoneでの有給休暇取得申請を「手段」と書きました。
これも視点を変えれば、有給休暇取得日をkintoneに貯めていくと残日数の管理などもkintoneで可能になります。
ということはこのアプリも「目的」であると言えます。
視点を変えるとその用途もいろいろ違ってくることがあります。
その用途に合わせて社内への浸透のさせ方も変わってきます。
いろいろな視点ややり方で社内浸透術を試されることをお勧めします。
「浸透させる」というより便利さが伝わって自然に「浸透していく」状態が一番望ましいですよね。
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