DXにおけるシステム選定のポイントは?DXの基礎や事例も解説
DXと聞いて、どんなことを思い浮かべるでしょうか。
わたしたちの暮らしや仕事がデジタル化によって効率化されることだけが、DXのゴールではありません。
世の中を取り巻く技術は日々進化を遂げ、市場競争はますます激化しています。
DXによってビジネスにおける競争力を高めて優位性を確保するために、DXについて正しく理解するとともに、ビジネスの重要なパートナーとなるシステムとしてどのようなものを選定するか、しっかりと見極める必要があります。
本記事では、DXにおけるシステム選定のポイントや、DX推進のためのステップなどについて、kintoneを活用して成功した事例を交えながら解説していきます。
この記事でわかること
- DX推進におけるシステム選定のポイント
- DXの基本概念とその重要性
- DX推進の具体的なステップやポイント
- kintoneを活用したDXの成功事例
こんな人におすすめの記事です
- DXを担当する中間管理職(ITマネージャーやプロジェクトリーダーなど)
- DXに関心を持つ経営層や部門責任者、自社の競争力を高めたいビジネスリーダー
- キャリアアップを目指すIT専門家
目次
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?
今や当たり前のように使われ耳なじみのある「DX」。これからDX推進のためのシステムを選定していく前に、改めて「DXとは何か」をおさらいしておきましょう。
DXの意味と定義
DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略で、直訳すると「デジタルによるビジネスや生活の変容」を意味します。
企業においては、AIやIoT、ビッグデータなどのデジタル技術を活用して、激しく変化するビジネス環境に対応できるようにする意味で使われます。デジタル技術の活用によって、業務だけでなくプロセスや組織、ひいては企業文化や風土をも変革し、自社の競争力を高めることを目的としたものです。
DXとデジタル化の違い
よく混同してしまうのが「DX」と「デジタル化」です。両者は似て非なる物で、意味合いは異なります。
デジタル化とは、業務そのものは変わらないまま、アナログからデジタルにすることで生産性を向上させることです。例えば、上司への決裁承認を紙で回していたものからメールやチャットを使用し効率化が図られた、といった例です。
一方DXとは、プロセス自体が変化します。DXはデジタル化を通じて計画や運用方法を根本的に変革させるものです。コロナ禍によって急増した「リモートワーク」や「フードデリバリー」も、デジタル技術を活用して新たなビジネスモデルが生まれた一例でしょう。「仕事は会社でするもの」「外食は家の外に出て食べるもの」という本来の業態のあり方を変化させました。
デジタル化はDXのための「手段」であり、DXはデジタル化の先にある「目的」であるといえます。DXが進めば自社のビジネスモデルや製品・サービスに、新しい影響をもたらすでしょう。
DXが日本において求められる理由|2025年の崖とDXレポートの変遷
日本においては経済産業省が「2025年の崖」と表して、DXに向けて警鐘を鳴らしているのをご存じでしょうか。DX推進のための課題を克服できない場合、2025年以降に最大年間12兆円の経済損失が生じる可能性があるというものです。
2018年から2022年までの間に、経済産業省は4回にわたって『DXレポート』を発表しているので、各レポートの要点を見ていきましょう。
レポート①:『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』
2025年を節目に、日本が直面するDX推進時の問題を提唱。既存基幹システムの老朽化、担い手の高齢化、IT人材の不足について言及。
参考:経済産業省|『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』
レポート②:『DXレポート(中間取りまとめ)』
デジタル移行に伴い、企業文化・ビジネスモデルも併せて変革を図ることの重要性を発表。
レポート③:『DXレポート2.1(DXレポート2追補版)』
デジタル化による新たな価値創出と、ステークホルダーとつながるエコシステム形成の重要性を強調。
参考:経済産業省|『DXレポート2.1(DXレポート2追補版)』
レポート④:『DXレポート2.2(概要)』
デジタル産業への変革に向け、収益向上・行動指針・経営者の価値観発信によるDX変革推進の共創を主張。
DX推進の課題と現状
DXレポートによってDX推進の重要性は理解できたものの、中でも特にどのような課題を解消していく必要があるでしょうか。近年の現状と併せて、解説していきます。
人材不足
日本のDXにおいて重要課題とされているのが、DXを推進する人材の不足です。DXにはある程度の専門的なスキルを伴います。政府は「リスキリング」を謳い、キャリア形成や学びの支援を企業に推進していますが、取り組みを実施できていない企業も多いのが現状です。
DXによって何を実現しようとしていて、そのために必要な知識やスキルにはどのようなものがあり、DX推進にかかる評価制度はどうなっているのか。それらについて整備・周知している企業が少ないというのも、人材確保に苦戦している要因にもなっています。
日本のDX推進人材は「量」「質」共に大幅に不足しているのです。
システム構築
現在の業務やビジネスモデルに合っていない既存の老朽化した基幹システム(レガシーシステム)に依存していると、DX推進のネックになるケースも少なくありません。レガシーシステムが外部委託によって構築・運用されてきた場合は特に、システムがブラックボックス化していて見直しに時間を要する場合もあります。
日米におけるソーシング手段と割合の違い
(『DX白書2023』、独立行政法人情報処理推進機構、2023年3月16日、P.123)
参考情報ですが、画像は日米におけるシステムのソーシング手段の割合を示したものです。これからも分かるように、日本は内製化の割合が低く外部委託に依存しているケースが多くあります。外部委託に依存した状態だと、DX推進や新規事業のためのシステム投入や、顧客ニーズに合わせて柔軟でスピーディなアプリケーションの改善に対応が出来なくなるでしょう。
このように、システム構築の方法は経営と切っても切り離せない存在です。外部委託の範囲や割合を改めて見直し、内製化を検討する必要があるでしょう。
予算
DXレポートでは、企業がITに割ける予算の9割以上がレガシーシステムの維持管理に充てられている状況であると発表しています。
IT人材の不足を補うための予算も確保しづらくなっており、DXを推進するのに必要な費用が潤沢にあるという企業は多くはなく、中小企業においては特に、予算の問題は高い壁となっています。
DX推進のポイント | 4つのステップで解説
DX推進の課題を念頭に置きながら、具体的にどのような点に注意してDXを推進していくのが良いでしょうか。ここでは次の4つのステップをもとに、ポイントを解説していきます。
- 現状の可視化・把握
- 人材確保と組織体制の見直し
- デジタル化による業務効率改善
- 蓄積したデータの活用
ステップ1 | 現状の可視化・把握
DXを推進する前に、まずは自社の状況を棚卸して可視化し、現状を理解するところからスタートします。
現在使用しているシステム、部署ごとの情報資産、管理にかかる人的リソースと能力など、社内の現地点を把握しましょう。そうすることで自社の強み・弱みが明らかになり、DXの方向性を定める第一歩を踏み出すことができます。
この「現状の可視化・把握」は、DXの進行と共に定期的に更新し、常に最新の情報をチームで共有することが大切です。情報が最新であれば、効果的で効率的なDXが推進され、本来のDXの目的である自社の競争力の優位性を高めることにも繋がります。
ステップ2 | 人材確保と組織体制の見直し
次に、DXを推進するために必要な人材(DX人材)の確保と、社内体制を整えていきます。
日本ではDX人材が依然として不足しています。人材の確保には、適切な人材を新たに採用するか、既存の社員を育成するかの2つの方法が考えられます。
人材確保の動きを鈍化させる理由は、前述のとおり自社のDX人材にかかる要件定義や制度が明文化できていないことがあげられますが、他にも考えられることがあります。それは、「組織体制の見直し」が必要であることです。
DX推進には、経営層の理解や各部署間の連携が不可欠です。従来のレガシーシステムから脱却しようとすると、どうしても変容する文化やプロセスが発生してきます。そうしたときに、経営層にコミットし各部署と協力関係が築けていれば、スムーズに進むケースも多いですが、その逆も然りです。
DXを実現するためには、組織の文化の再形成も重要なポイントとなります。アサインされるDX人材は、単なるデジタルスキルに長けた人材ではなく、社内で良好な関係を構築できるコミュニケーションスキルがあることも望まれるところです。
ステップ3 | デジタル化による業務効率改善
DXはデジタル化の先にある「目的」であり、デジタル化はDXの単なる「手段」に過ぎないことをはじめにお伝えしました。
デジタル化は業務効率が改善され、生産性が向上することが期待されるものです。デジタル化の成果によっては、その先にあるDXが社内へもたらす効果・メリットなどの期待感を体験知として周知することができるでしょう。
なお、デジタル化を実施する際は部署ごとの小単位ではなく自社全体を対象として、外部環境と照らし合わせながら長期的な視点で最適化するようにしましょう。
ステップ4 | 蓄積したデータの活用
ビジネスにおいてデータを活用して意思決定していく経営手法を「データドリブン経営」といいます。これは業務改善だけでなく、新たなビジネス創出のチャンスにもなり得ます。
デジタル化が進むとシステムにデータが蓄積され、たとえば売上動向やユーザーの行動パターンといった情報を容易に取得することができるようになります。不確実性の高い現代において、データを有効に活用し素早い意思決定ができると、競合他社より先にビジネスを展開することが可能になり、業界においてより優位性が高まります。
デジタル化においてありがちなのが、「データは蓄積できたがどう活用したらいいかわからない」という状態です。いつ何のためにどう活用するデータなのか予め設計したり、デジタル化を進めながら適宜改善をしたりしながら、データ活用の方向性を考えていきましょう。
内製化とアジャイル思考の浸透が必要
私たちを取り巻く現代社会は、日々めまぐるしい変化と新しい情報に満ち溢れています。ビジネスはもちろんDX推進においても、環境に合わせて柔軟に変化・対応することが求められます。
そこで大切なのは、「内製化」と「アジャイル思考」です。
既存システムのメンテナンスは、どんな頻度で誰が担当していますか?「最後にメンテナンスをしたのは、いつか覚えていない」「システムについては全て外注して任せている」という企業も少なくないのではないでしょうか。
DXはビジネスモデルの変革を目的としたものです。既存の仕組みを見直し、システムだけでなく時には組織そのものを、時代や顧客に合った仕様に変化させていかなければなりません。そうなると、自社の文化を把握した上で変化に柔軟に対応できることが重要で、近年ではDX推進のステップを円滑に回すため「内製化」に切り替える企業が増えてきています。
また、変化に対応する際に取り入れたい考え方として「アジャイル思考」があります。
アジャイルとは、もともとソフトウェア開発の用語で、「素早い」「俊敏な」という意味があります。
アジャイル開発が「計画→設計→実装→テスト」の開発工程を機能単位の小さいサイクルで繰り返す開発手法であることから由来し、「アジャイル思考」は小さな単位で修正を繰り返しながら完成度を高めていく考え方のことを言います。
かつて主流であったウォーターフォール開発(全体の流れや工程が予め全て決まっている開発手法)は、開発途中の仕様変更が難しいという特徴があり、変化の激しい現代にはフィットしづらく、昨今ではアジャイル開発を取り入れてDXを推進する企業が増えています。
DX推進におけるシステム選定のポイント
DX推進のポイントをおさえたら、次はいよいよシステム選定におけるポイントを見ていきましょう。近年、DXのための様々なシステムが各社からリリースされています。
次の4つのポイントを念頭に置き、自社に合ったシステムを選定していきましょう。
- プログラミング不要なノーコード・ローコードシステムかどうか
- スピーディないステム構築と改修(アジャイル開発)に向いているか
- システム導入や人材確保にかかるコスト
- 伴走支援型サービスの有無
ポイント①:プログラミング不要なノーコード・ローコードシステムかどうか
DXの推進に必要不可欠なのが、内製化と人材の確保。DXはビジネスの変革を伴う取り組みであることから、内製化を「DXの施策のひとつ」という位置づけで計画することが重要です。
これまで外部委託していた開発を内製化するとき、開発スキルが必要であることがネックになるケースが散見されます。
プログラミングが必要なシステムでは内製化のハードルが高く、条件を満たす人材確保も容易ではありません。
そのため、IT知識が無くてもシステム構築やカスタマイズが可能なノーコード・ローコードシステムを選択することが重要です。プログラミングの知識や経験が不要なので、人材の確保や教育がしやすいのもメリットと言えます。
ポイント②:スピーディなシステム構築と改修(アジャイル開発)に向いているか
DX推進は社を挙げての一つの大きなプロジェクトです。経営層にコミットし、各部署とコミュニケーションをとりながら進めていく中で、トライ&エラーの機会が多く訪れるでしょう。
システム開発において、これまでのウォーターフォール開発のような、いわゆる企画から実装までを固めてからリリースするといったスピードでは対応しにくい恐れがあります。
対してアジャイル開発のような、「計画→設計→実装→テスト」の1サイクルを短期間で繰り返し実施・リリースできる手法は、DXの推進に向いています。開発途中でも仕様変更や要件変更に柔軟に対応できるのがアジャイル開発の特長です。
プロジェクトに変化はつきものです。システムを選定する際は、アジャイル開発ができるシステムを検討すると良いでしょう。
ポイント③:システム導入や人材確保にかかるコスト
DXを成功させるためにシステムを新たに導入したり、既存のシステムを刷新したりと、システムにかかるコストもよく検討する必要があります。
また、DX推進における人材確保についても、コストを大まかにでも算定しておくと良いでしょう。新たに人材を採用する場合にかかるコスト、システム改修にかかる工数など、人材確保にかかるコストも把握しておくことが大事です。
特に、システムの開発や運用を内製化すると、外部委託していたことで効率化できていた業務が非効率になり、一時的にでもコスト高を招いてしまう場合もあります。
システムにかかるコストや人材コストを試算し、DX効果を高めるのに最適な、自社に合ったシステムを選定しましょう。
ポイント④:伴走支援型サービスの有無
近頃では、開発を外部委託して成果物を納品してもらうより、DXを進めていく自分たちが開発の主導となり、外部から伴走支援を受ける契約に切り替える企業が増えてきています。
DXはビジネスとシステム開発が一体化して進んでいくものです。それぞれが単独で進行してしまうと、DXのゴールが遠ざかってしまう要因にもなりかねません。そのための手法として、システム開発をすべて外部へ委託するのではなく、内製化して自社のビジネスを織り込みながらDXを推進していくことも検討が必要でしょう。
ただし、内製化の過程で必要となるアジャイル開発の考え方や、クラウドネイティブな開発技術など、自社の人材だけではわからないことも多く発生してくるものです。
そんな課題を解消するには、システムの内製開発を移行するための支援や、伴走してもらいながら開発スキルを自社に移転させることが求められます。DXを推進するためのシステム開発の主役は、外部のプロではなく、あくまでも自社です。外部のプロによる伴走支援サービスのあるシステムであるかどうかも、選定のポイントの一つとして視野に入れておきましょう。
kintoneがDX推進における導入システムに向いている理由
DXにおいてどのようなシステムを導入すると良いのか、イメージはわきましたか?
今では様々なツールがDX市場を取り巻いています。中でもサイボウズ社が提供するクラウドツール『kintone』は、以下の4つの理由からDX推進において導入するシステムに向いていると言えるでしょう。
- ドラッグ&ドロップでできるノーコードシステム
- スピーディな変化にもカスタマイズで対応可能な柔軟性と拡張性
- システムの導入・改修コストを抑えることが可能
- 伴走パートナーの存在
理由①:ドラッグ&ドロップでできるノーコードシステム
kintoneはドラッグ&ドロップでシステム開発ができる、いわゆるノーコードシステムです。
ITに苦手意識を持っている人でも感覚的に扱うことができ、人材育成やリスキリングにも馴染みやすく、システムの内製化を視野に入れやすいメリットがあります。
開発スキルを必要としないので、システム構築はIT部門の担当者だけに限らず、現場のスタッフも開発に携わったというケースが実際に多くあります。ユーザーとなる現場スタッフを巻き込むことで、より自社らしい開発・活用が進むといった相乗効果も生まれます。
理由②:スピーディな変化にもカスタマイズで対応可能な柔軟性と拡張性
事業や業務の変化に合わせて、システムもスピーディに変化させられることはビジネスにおいて理想的な状態です。kintoneは、相手の要望を聞きながら対面で開発していけることが特長。DXにおいては、何度も改善しながらシステムを作りこんでいく場面が多くありますが、kintoneはスピーディかつ簡単にカスタマイズし対応できます。
また、簡単に作れることによるアプリ(業務に合わせた業務システム)の乱立を想定し、プラグインが豊富に用意されています。たとえば、複数あるアプリに同一ルールを適用したい場合、本来はアプリひとつひとつに対して変更を加える必要があります。しかし、プラグインを使用すれば、全てのアプリに対していっぺんに変更ルールを適用させることが可能になります。
ほかにも、JavaScriptやAPIを利用して外部サービスと連携させることもでき、柔軟性・拡張性が高いのもkintoneの強みの一つです。
※プラグイン、JavaScript、APIを使用できるのは「スタンダードコース」のみです。
理由③:システムの導入・改修コストを抑えることが可能
kintoneのシステム導入費用は「無料」です。発生するのは、ユーザーの月額費用のみ。
月額費用は1ユーザーあたり、780円(ライトコース)もしくは1,500円(スタンダードコース)となっています。
一般的に、システムの導入や刷新には何かと高額な費用が発生しますが、kintoneの場合は初期費用が無く、ランニングコストも月額費用だけとコストを抑えることができます。
また、ノーコードシステムなのでシステム開発を担当する人材の要件のハードルも低くなり、人材コストも抑えることができるといった点も魅力でしょう。
理由④:伴走パートナーの存在
システム開発や運用を内製化するとき、心強いのが「伴走パートナー」の存在です。
伴走パートナーはシステム設計や開発の補助などの技術的な支援だけでなく、課題の抽出や改善ポイントの提案など、運用の過程で生じる困りごとも支援してくれます。
長期的な視点をもって継続的な伴走支援を受けることで、システムが社内に定着するまでのスピードや、自社にフィットしたシステムづくりという面で、大きなメリットが得られます。
「外部パートナーとはシステムを開発したら終わり」という関係では、改善を繰り返しながら進めていくDXの性質にはなかなかマッチしません。
伴走してくれるパートナー企業がいるkintoneであれば、質・量ともに自社だけではまかないきれない課題を一緒に解決してもらえる機会も多く、安心してDXを推進していくことができます。
DXシステムとしてのkintone活用の成功事例
ここからは、DXを成功させた企業の事例をkintoneの活用方法を交えながら紹介していきます。
kintone導入前の課題やDXの目的、それをどのように乗り越えたのかなど、自社の状況と照らし合わせながらぜひ参考にしてみてください。
- 星野リゾート
- 瀬戸内市役所
- 京葉ガス
事例①:星野リゾート
【課題・目的】
「全社員IT人材化計画」
顧客満足度と生産性の両立を目的に、ITによる業務改善が市場競争に打ち勝つカギとなるという考えがありました。
【なぜkintoneだったのか】
同社は「業務アプリはプロセス×コミュニケーションである」と考えていました。kintoneは初めからコミュニケーションの仕組みが機能として組み込まれており、「チームで活用するグループウェア」と謳っていることから、この考えにフィットしました。
使いやすいノーコード・ローコードツールであるkintoneは、現場に落とし込みやすいシステムとして機能すると試算。また、kintoneは隙間時間で完結できるワークフローを作り出せるクラウドツールとしても魅力的でした。
【kintoneをどのように活用したのか】
現場出身者を中心にした30名超えのプロジェクト推進チームを発足。経営のなかでどうIT組織を位置づけるかを考えたとき、同社は「現場」を大切にDXを進めてきました。
同社がkintoneを活用してDXに成功した要因として、次の3つがあります。
①「業務改善」
スクラッチ開発した基幹システムをkintoneの機能に置き換え、業務改善に至ったのが、別荘管理における請求管理。その都度発生する役務に対する項目は、電話やメモで受付けしスプレッドシートで管理していましたが、kintoneの20個のアプリで対応可能に。これまでの業務のあり方をkintoneを活用して見直しできました。
②「データプロセスコミュニケーション」
従来の社内公募制度のフローは、施設側が募集案内を出したものに対し、電話やメール、Excelなど異なる手段で対応しており、煩雑さが生じていました。現在ではkintoneで募集案内から応募までのフローを整備・統一したことで、シンプルでわかりやすい運用に。同様に、出張申請やシステム申請など総務部門管轄の申請も、個別で運用していたものを統一し、利用頻度が高まりました。
③「アジリティプラットフォーム」
「アジリティ」とは「機敏性」のこと。kintone開発の売りでもあるスピードを活かした例があります。
急遽はじまったGo toトラベルの対応のため、kintoneでキャンセル料返還申請フォームを構築。エンジニアによるスクラッチ開発の機能と併用しながら、kintoneアプリで補完できる部分を構築することで、プロダクトを整備するスピードを速めることができるようになり、後続して様々なアプリが生まれています。
【DXにおける工夫】
情報システムグループのスタッフの一人が『kintone認定アソシエイト』の資格を取得し、3つの取り組みを推進しました。
①ガバナンスの整理
ルールが無かったため、アプリが無法地帯化し、新参者が入りづらい状態に。
統治するのではなく「仕組み・ガバナンス」を整えるという意識で、誰もが使いやすいシステムへ。
②プラグインの最大活用
元現場スタッフである「非エンジニア社員」がアプリを作成・発信することが重要。「自分たちでも開発できるんだ」というマインドづくりを醸成。
③教育環境の用意
アプリ作成がトライアルできる環境を「仕組み」として整備。教育も講座開催型ではなく、学びたい人が手を挙げ、内容に応じて教育プログラムを検討し、研修として実践する形に。
【kinotneを導入してみて】
これまで2700を超えるアプリを作成し、800アプリを日常的に利用するまでになっています。kintoneの定着の秘訣は、情報システムグループと現場が並走することでした。kintoneはデータとプロセスを簡単にアプリで動かすことができるので、業務改善のマインドが全社的に高まりました。
導入から7年。現場の力を最大化するための仕組みづくりにkintoneが重要な位置づけになっています。
参考:星野リゾート 導入事例
事例②:瀬戸内市役所
【課題・目的】
2022年策定の「瀬戸内市DX戦略方針」の実現。
具体的には、電子申請や会議のスマート化、市民・連携先・関連部門との情報共有、業務の効率化のため手始めとして職員業務のデジタル化。
【なぜkintoneだったのか】
各課に課題感や必要な機能をヒアリングした結果、
- 自身でシステムを作りこんでいけるもの
- セキュアな環境で自治体専用閉域ネットワークからの接続が可能なこと
が要件に。
【kintoneをどのように活用したのか】
①年間20時間の手間を削減
年間500件以上届く、道路の補修などの『要望書』。手書きの書類を職員がExcelに転記するも、入力形式のバラつき、表記ゆれが発生していました。また、過去の要望書を膨大な紙ファイルの中から探し出す手間がありました。
kintoneで『要望書管理アプリ』を作成し、入力情報のバラつきが無くなり、過去情報の検索も絞り込み機能や地図にピン表示させることで視覚的に検索ができるように。
②書類のオンライン化で24時間受付可能に
移住や定住の希望者からの申請書や相談シートをメール、FAX、郵送と様々な形で受領し、職員がExcelに転記し時間がかかっていました。
kintone連携アプリ『フォームブリッジ』を活用し、書類をWebフォーム化・24時間受付可能に。利用者の負担が減っただけでなく、入力情報がアプリに反映され、職員の転記作業が0になり、職員は本来の相談業務に注力できるようになりました。また、リアルタイムな情報の更新が可能になっています。
③管理工数の削減とペーパーレス化
製本された設計書や入札情報など分厚い紙の資料を業者の方が閲覧するのに、紙台帳で管理していました。台帳用紙の補充や情報のデータ化などの作業にも時間をとられていました。
資料をPDF化し、窓口にPCを設置。Webフォームに入力すれば誰でも閲覧できるようにしたことで、誰がどの情報を閲覧したのかkintoneで管理できるように。各課の製本業務も0になり、業務効率化、ペーパーレス化に成功しました。
【DXにおける工夫】
相性がいいと思われる業務からkintoneに置き換えていきました。DX戦略室は各課の業務について、各課はkintoneについて、お互いの状況を詳しく把握していないもの同士だからこそ、コミュニケーションを大切にしながらDXを進行しています。
限られたリソースでDXを推進するために、勉強会や庁舎内の先行事例を積極的に紹介し、「自分たちでもやってみよう」と考えてもらえるような環境づくりと声がけを、粘り強く行ないました。今ではDX戦略室ではない職員から支援者が登場するようにもなっています。
【kinotneを導入してみて】
作成したアプリ数は250を超える数に。
kintoneの機能に制約があるからこそ、業務改善のためにどう工夫できるのかの発想が根付きました。
人材育成にも力を入れる予定ですが、すでにDXに貢献できる人材が増えてきており、kintone導入によるDX効果が出始めています。
事例③:京葉ガス
同社は「伴走パートナー」と共にkintoneの運用で業務改善を実現しました。こちらは伴走パートナーと共にDX推進を軌道に乗せた例としてご紹介していきます。
【課題・目的】
- ペーパーレス化の推進
- 小規模な業務システムの迅速な開発
- 社内、取引先との情報共有の強化
- 既存の業務システムのブラックボックス化解消
【なぜ伴走パートナーを必要としたのか】
簡単に手早くアプリが作れるkintoneだけに、むやみにアプリを作るとかえって使い勝手が悪く、導入失敗となる恐れがありました。正しい利用と普及のため、kintoneを熟知しているプロに指導してもらいながら運用する必要があると考えました。
【伴走パートナーから受けた支援】
kintoneの仕様や操作について、実際に画面を見て体験しながらのハンズオン研修を実施しました。現場のリアルな状況に当てはめながら行なったことで、活用イメージを広げることが可能に。
アプリを作成するようになると出てくる疑問・課題について、適宜パートナーに相談していました。定期的に開催される相談会には、kintoneにまだ慣れていない社員も参加することで、kintoneの活用が進みました。
【伴走の流れ】
①kintone利用におけるレベル感や知りたいことをヒアリングし、オリジナルの教育カリキュラムを作成。
②基本操作を学ぶ研修(4.5時間×3日)を、オンラインで実施。
③実践する中で発生した疑問や課題を相談できる「個別相談会」を定期開催。
【伴走パートナーと運用してみて】
伴走パートナーは、自社だけでは考えつかない活用方法や構築方法をアドバイスしてくれます。活用イメージが広がり、理解も深まりました。伴走してもらいながら、3か月間で20個以上のアプリを作成しています。
各部署での業務の効率化が図られ、現場が主体となって業務改善が行われるようになりました。
同社の伴走パートナーとなったのは、わたしたち伴走ナビでした。第三者目線とプロ視点を継続的に加えることで、kintone活用の幅が広がります。
DX推進は自社のリソースだけで進めなければならないことはありません。一つの手段として伴走パートナーの力を取り入れてみることも、価値があるのではないでしょうか。
参考:京葉ガス 導入事例
DXの推進にはkintoneも十分活用可能!内製化を視野に伴走支援を活用した人材教育がおすすめ
本記事では、DXにおけるシステム選定を検討するにあたり、このような内容で紹介してきました。
- DX推進におけるシステム選定のポイント
- DXの基本概念とその重要性
- DX推進の具体的なステップやポイント
- kintoneを活用したDXの成功事例
DX推進は単なるデジタル化ではなく、ビジネスモデルや企業風土と互いに影響し合うものであるため、全社の状況を俯瞰しながら進めていくことが重要です。
システムについて、自社のリソースで内製運用を図ることは大事である一方で、客観的な視点を取り入れながらPDCAサイクルを回していくことも大切です。その点で、伴走パートナーの力を活用すると、自社だけでは見えなかった課題や改善点が見つかり、DX推進においてより高い効果をもたらすことができるでしょう。
伴走サービスを活用したDXを検討される際は、是非伴走ナビにご相談いただければと思います。
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