kintoneで在庫管理は可能?アプリの作り方や事例も解説
会社の在庫管理を行う場合、品切れを避けるのはもちろんですが、在庫過多にならないようにもしなければなりません。できることならば、常に適切な在庫数を手間をかけずに維持していきたいですよね。
しかし、在庫管理や処理の方法は、会社によって多様なため、他者を参考にしてみても自社には合わないというケースも多々あります。そして結局、自社に合ったシステムに出会えずに、めんどくさい紙媒体での管理を続けるしかないケースも少なくないでしょう。
そこでこの記事では、kintoneを活用して、在庫管理を行う方法を解説していきます。この記事を読むことで、在庫管理を紙媒体でなく、kintoneで行うメリットやデメリットがわかり、適切な在庫数の維持が可能です。ぜひ最後まで読んでいただき、わずらわしい在庫管理から脱却しましょう!
この記事でわかること
- 在庫管理の最適化のコツ
- コスト削減しつつ効率を上げる在庫管理
こんな人におすすめの記事です
- 在庫の過剰や不足に悩んでいる中小企業の経営者や管理者
- 在庫管理をシンプルでコスト良く始めたいオペレーション担当者
- ITツールを活用して業務プロセスを改善したいIT担当者
目次
kintoneで在庫管理を行う方法
kintoneで在庫管理を行う方法は以下の2つになります。
- kintoneサンプルアプリ「備品在庫管理」を活用する
- プラグインを活用して在庫管理アプリを自作する
実際、kintoneで在庫管理を考えている、またはもっと自社に適した形で活用していきたい方は参考にしてみてください。
① kintoneサンプルアプリ「備品在庫管理」を活用する
出典:備品在庫管理 – kintone(キントーン)- すぐに使えるサンプルアプリ | サイボウズの業務改善プラットフォーム
社内の備品など、比較的簡単な在庫管理には、kintoneサンプルアプリの「備品在庫管理」がおすすめです。「備品在庫管理」では、その名の通り社内の備品在庫を管理することができ、入出荷数を記録することで、業務に必要な在庫を簡単に管理できます。
このアプリを活用することで、備品の過多や欠品を避けることができ、棚卸の時に数が合わないなど、無駄な手間を省くことにも繋がります。他にも、自動で数量を集計したり、グラフなどで見やすくしたりなど、紙媒体やExcelでは手間が掛かることを簡単にできるので試してみるとよいでしょう。
② プラグインを活用して在庫管理アプリを自作する
より複雑なフローが必要な場合は、プラグインを活用して在庫管理アプリを自作することが可能です。カスタマイズによって自社に適した仕様に作り上げることができるので、サンプルアプリでは対応しきれない場合におすすめです。
自作することでリアルタイムな在庫確認が可能になったり、バーコードでのスキャンもできるようになります。カスタマイズの手間はかかるものの、それ以上にメリットが大きいのでおすすめです。
アプリ作成の流れは次のパートやこちらの記事でデモ画面とともに紹介しているので参考にしてみてくださいね。
参考|【デモ画面】kintone(キントーン)で在庫管理システムを構築する際の流れを解説
kintoneでの在庫管理アプリの作り方
それでは実際にkintoneでの在庫管理アプリの作り方を解説します。今回は手軽に利用できておすすめなTIS社の「在庫管理プラグイン」を活用した例を以下の手順に沿って紹介します。
・手順1|在庫管理に必要なアプリを準備する
・手順2|アプリに必要なフィールドを設定する
・手順3|プラグインの各フィールドの指定を行う
このパートの解説を参考にぜひアプリ作成にチャレンジしてみてくださいね!
手順1|在庫管理に必要なアプリを準備する
まずは在庫管理システムに必要な以下の4つのアプリを作成します。
①商品マスタアプリ
②入庫管理アプリ
③出庫管理アプリ
④在庫管理アプリ
各アプリの設定についてそれぞれ解説してきます。
※ちなみに、アプリを新規作成はkintoneトップページの「アプリ」の「+(追加ボタン)」を押し、「あたらしくアプリをつくる」>「はじめから作成」で可能です。
出典:アプリをはじめから作成する | kintone ヘルプ
①商品マスタアプリ
商品マスタアプリは、取り扱う商品情報を管理するデータベースの役割を果たします。
アプリには商品に紐づいた情報が登録されるように、「商品名」「商品区分」といった情報をフィールド上に登録していきましょう。登録する項目例としては以下を参考にしてください。
- 商品カテゴリ
- 商品名
- 販売単価
- 仕入単価
- 発注点
※在庫管理アプリでは商品の在庫切れを防ぐことも目的となるので、在庫が特定の数になった時に自動的に発注する「発注点」の設定をしておきましょう。
また、「商品名」は重複禁止にしておきましょう。「商品名」の設定にて「値の重複を禁止する」にチェックを入れるとOKです。
もし、同じ商品名を使用しなければならない場合は、品番・型番など商品を区別できる項目を作って連携できるようにしておきましょう。
②入庫管理アプリ
入庫管理アプリは、商品を入庫する際に必要な情報を登録します。「入庫日」「入庫商品名」「単価」など、情報が把握できる項目が必要になります。
アプリ上では複数の商品を一括して登録できるように、テーブル形式を使用するのがおすすめです。フィールド一覧から「テーブル」を選択しましょう。
登録する項目例としては以下の通りです。
- 入庫日
- 商品
- 単価
- 入庫数
- 金額
- 合計金額
これらの必要項目をテーブルの中にフィールドをドラッグ&ドロップして設定します。
文字入力は「文字列(1行)」、単価のように数値入力は「数値」、単価と入庫数を掛けて金額を算出する場合には「計算」のフィールドを使用しましょう。
また、商品名は商品マスタアプリから「ルックアップ」機能で反映させるように設定しましょう。
ルックアップ機能についてはkintoneの公式ヘルプページも参考にしてみてください。
③出庫管理アプリ
出庫管理アプリは、商品を出庫する際に必要な情報を登録するアプリになります。
基本的には、入庫管理アプリと項目名が違うだけなので、入庫管理アプリを再利用して出庫管理アプリを作成するとよいですよ。
アプリの再利用は、「kintoneアプリストア」から「ほかのアプリを再利用」をクリックし、再利用したいアプリ(今回は入庫管理アプリ)の「アプリの再利用」をクリックすればOKです。
出典:ほかのアプリを再利用して新しく作成する(アプリのコピー) | kintone ヘルプ
複製した後は「入庫日」「入庫数」などの項目を「出庫日」「出庫数」といった形で変更すれば完了です。
④在庫管理アプリ
最後に、商品の在庫状況を把握し、商品の棚卸と管理を行うための「在庫管理アプリ」を作ります。
在庫管理アプリに必要な項目例は以下の通りです。
- 棚卸日
- 商品(ルックアップ)
- 棚卸時の数量
- 棚卸時の単価
項目の設定が完了したら、TIS社の「在庫管理プラグイン」を追加し、事前に準備したアプリの情報を自動的に集約できるようにしましょう。
在庫管理プラグインのインストール方法は以下の手順となります。
- ホーム画面の設定→「kintoneシステム管理」を選択
- 「その他」→「プラグイン」を選択
- 画面左上「読み込む」→「kintone 在庫管理プラグイン」を読み込む
- 商品マスタアプリ→「設定」の「カスタマイズ/サービス」→「プラグイン」を選択
- 「+追加する」→「kintone 在庫管理プラグイン」を選択→「追加」
インストールしたプラグインを「在庫管理アプリ」へ追加する手順は以下通りです。
- 在庫管理アプリの設定→「カスタマイズ/サービス連携」の一覧→「プラグイン」を選択
- 画面左「+追加する」をクリック→インストール済みの「kintone 在庫管理プラグイン」項目にチェックを入れ完了
手順2|アプリに必要なフィールドを設定する
必要なアプリの準備ができたら、「在庫管理アプリ」に必要なフィールドを設定します。
- 棚卸日のフィールド
- 商品アプリ(商品名)のルックアップフィールド
- 入庫数のフィールド
出典:在庫管理プラグイン
また、在庫している店舗や倉庫ごとに管理する場合には入庫先を登録するルックアップフィールドを追加しておきましょう。
手順3|プラグインの各フィールドの指定を行う
必要なフィールドの設置が完了したら、最後に「kintone 在庫管理プラグイン」のフィールド指定を行いましょう。手順は以下の通りです。
- 在庫管理アプリの設定→「カスタマイズ/サービス連携」の一覧→「プラグイン」を選択
- インストール済みのプラグイン一覧から「kintone 在庫管理プラグイン」の設定をクリック
- 「商品アプリ」を選択し、設定している各フィールド(NO、部門、分類、商品名など)を指定
- 設定完了
出典:在庫管理プラグイン
kintoneの在庫管理アプリに使えるプラグイン
kintoneでは機能を簡単に拡張できるプラグインが提供されています。在庫管理に関しても必要なプラグインを選んでアプリに追加するだけで、効率的な在庫管理を可能にできます。ここでは、在庫管理に役立つ2つのプラグインをご紹介します。
在庫管理プラグイン(TIS)
出典:在庫管理プラグイン
TIS社の在庫管理プラグインは、kintone上で在庫管理をシンプルかつ効率的に行えるプラグインです。商品の入出庫や在庫数をリアルタイムで把握でき、バーコードスキャン機能を使ってデータ入力をスピーディーに行えます。
これにより、業務効率が大幅に向上し、在庫の正確な管理が可能になります。操作が簡単で、柔軟な設定ができるため、さまざまな業種やニーズに対応できる点が特徴です。
入出庫管理プラグイン(CapDo.JAPAN)
CapDo.JAPANの入出庫管理プラグインは、商品の入出庫管理を効率化できるプラグインです。活用する場合、「商品アプリ」「入出庫・棚卸・倉庫アプリ」「仕入伝票アプリ」「売上伝票アプリ」の4つのアプリを連携させて在庫管理を行います。
このプラグインを使うと、リアルタイムで適正在庫を表示でき、棚卸や在庫評価が可能になります。
また、バーコードスキャンやデータ通信により、スピーディかつ正確な在庫管理を実現可能です。大規模な企業にも対応可能で、カスタマイズにも柔軟に対応できるので在庫管理にはもってこいですよ。
kintoneで在庫管理を行うメリット
kintoneで在庫管理を行うメリットは以下の3つになります。
- 正確な情報管理や人的なミスの削減
- DX推進につながる
- 低コストで導入できる
それぞれのメリットについて詳しく紹介していきますね。
正確な情報管理や人的なミスの削減
在庫管理を紙媒体や、Excel、目視で確認にしていると、カウントミスや入力漏れなど、人的なミスが起こります。また、時間や手間が掛かるためデメリットの方が多くなってしまいます。
一方、kintoneで在庫管理を行うと、正確なデータを入力することができるため、このような人的なミスをなくすことが可能です。kintoneの在庫管理アプリを使うことで、在庫データはシステム内に登録されるため、手入力での作業は不要です。
つまりkintoneで在庫管理することで、入力の漏れやミスなど人的なミスが激減します。また、作業自体の手間や時間も削減できるため、業務改善に繋がるのは大きなメリットになるでしょう。
DX推進につながる
DXとは要約すると「データやデジタル技術を活用して、社会・社内・顧客に新たな価値を提供する」ことです。
kintoneでは発注ミス、入金ミス、不良品など改善するべき点がデータとして可視化されるので、それらをDX推進の起点として活用できます。また、リアルタイムでグラフを作成することも可能なので分析も容易です。このようにして、kintoneを活用した在庫管理は、DX推進につながっていくのです。
低コストで導入できる
kintoneには、部分的な業務を低コストで改善できるというメリットがあります。パッケージ販売の在庫管理システムを導入する場合、在庫一覧や入出庫管理、棚卸など様々な機能が多いほど導入費用が高額になります。それに対し、kintoneで在庫管理システムを構築する場合は、業務に合わせて必要な機能のみを低価格で導入できます。
入出庫管理はExcelだけど、棚卸の業務は手書きで行っているという企業は、棚卸という一部の在庫管理業務をkintone化させることも可能です。このように、部分的な業務を低コストで改善できるため、小規模な企業でも容易に導入できる点が、在庫管理システムをkintoneで構築するメリットとなります。
kintoneで在庫管理を行う際の注意点
kintoneで在庫管理を行う際の注意点は以下の2つになります。
- 運用上の注意点
- システム上の注意点
kintoneで在庫管理を行う場合には、知っておいて損はないので、参考にしてみてくださいね。
運用上の注意点
kintone上で在庫管理を行う際の注意点として、「在庫管理のどの課題を解決したいのか」を明確にする必要があります。例えば、「現在の在庫がリアルタイムで把握できない」「受発注の共有まで時間がかかり管理がしにくい」など、現場が抱える課題に応じて、導入しなければならないシステム(機能)が異なるからです。
もし、課題を明確にせず、現場の実情にも合っていないシステムの導入を進めると、導入にかかった労力や費用が水の泡になる可能性もあります。そのため、事前に解決すべき問題をしっかりと把握し、システムを最大限活貸すための準備が重要といえます。
システム上の注意点
在庫管理を行うための課題と目的が定まったら、解決するために必要なシステム(機能)を決定する必要があります。一般的な機能だけで在庫管理を効率化できるのであれば、kintoneの標準機能だけでも十分に業務改善することができます。
ただし、業務フローが複雑で独自のシステム構築が必要な場合は標準機能ではカバーしきれない可能性が高いです。また、データが大量で更新頻度が多くなる場合はkintoneの性質上あまり向いていません。そのため、このような場合にはプラグインの活用やJavaScript開発でのカスタマイズが必要になるでしょう。
ノーコードツールであるkintoneは自社でもカスタマイズが可能ですが、より自社の課題に適したカスタマイズを行うためには伴走パートナーに相談するのも一つの手です。わたしたち伴走ナビではこのような事例の無料相談も行っていますので、「自社の場合はkintoneで解決できるか知りたい!」というお悩みを持ったご担当者は、是非一度お問い合わせしてみてくださいね!
また、伴走パートナーがどのようなサービスなのか知りたい方は、サービス内容からパートナーの選定のポイントまで解説しているこちらの記事を参考に一度読んでみてください!
kintoneを活用した在庫管理の導入事例
kintoneを活用した在庫管理の導入事例は以下の2社になります。
- KFカーバイドジャパン
- 神戸製鋼所
- 小川峰株式会社
kintoneの在庫管理をどのように活用しているのか、参考にしてみてください。
事例1|KFカーバイドジャパン
KFカーバイドジャパンは、創業当時から全てExcelで管理しており、仕入れから出荷までの流れを横一列で並べていたそうです。そのため、紙の注文書をExcelに転記するために会社に出社するような感じでした。
ある時、取引先の拡大や在庫を管理するフロアの新設などにより、今までのExcelの管理に限界を感じ、これを機に管理だけでなく取引先ともコミュニケーションができるkintoneの採用に踏み切りました。
結果、在庫管理だけでなく顧客管理や受発注管理など、様々なプロセスをkintoneで管理しています。以前は常態化していた紙からExcelに転記するためだけに出社するケースも、kintoneでの在庫管理に変えた今ではリモートワークできるようになっています。
事例2|神戸製鋼所
素材系、機械系、電力事業など、幅広い事業を展開する神戸製鋼所。以前は、この多くの事業を展開している中、全て紙台帳での管理をしていました。そのため、棚卸の在庫一覧表を作る時間も掛かり、作業者にも負担が大きかったそうです。
この作業をシステム化する際に重視したのは、「できるだけ使いやすい仕組みで、低コストで構築可能なクラウドサービス」「簡単に画面レイアウトが変更できるなど内製化可能なもの」といった点でした。そこで、これらの要望を満たし、さらに社内の別システムで実績のあったkintoneで在庫管理のシステムを構築することになりました。
kintone導入後は、製造現場から戻ってきた材料に貼付されたQRコードをタブレットで読みこむだけで、入庫日や数量、置き場の情報を在庫管理台帳に登録できる仕組みを実現。結果として紙台帳からの脱却と作業時間の大幅な短縮につながりました。
参考|神戸製鋼所様の導入事例
事例3|小川峰株式会社
小川峰株式会社は、業務効率化の一環としてkintoneを導入しています。kintoneにより、従来の紙ベースで行われていた在庫管理がデジタル化され、リアルタイムでの情報共有が可能となりました。
具体的な効果としては、各商品の在庫状況が即座に反映され、誤出荷や在庫不足といった問題が大幅に減少しました。kintoneを使用することで在庫状況や発注履歴を一元管理できるため、業務プロセス全体の効率が向上し従業員の作業負荷軽減を実現しています。
また、リモートワークにも対応しており、場所を問わずに在庫管理が可能です。この結果、企業全体のコミュニケーションが改善され、より迅速かつ正確な意思決定が行えるようになり、全体的な生産性が向上しました。
まとめ|kintoneで在庫管理は可能!メリットや注意点を理解し、伴走パートナーも活用しよう!
- 在庫アプリの作り方
- kintoneで在庫管理を行うメリット
- kintoneで在庫管理を行う注意点
- 方法と導入事例
本記事では、上記の内容でkintoneで在庫管理は可能なのかを解説していきました。
紙媒体やExcelで在庫管理すると、記載ミスや入力漏れなど、人的なミスはあります。そのミスはゼロにはなりませんが、ゼロに近づけるためにも、在庫管理をシステムは必須といえます。
kintoneの活用によりそれらの課題解消だけではなく、社外にいる場合でも在庫を確認できるといったメリットもあり、これまでの手間や時間を大幅に削減することができます。
現在、自社の在庫管理に困っている方は、伴走サービスを活用しながら内製化するのがおすすめなので、是非一度伴走ナビまでご相談ください!
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